2019 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of threshold of breeding resources necessary for fruit induction of subtropical evergreen broad-leaved trees
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17K07846
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| Research Institution | University of the Ryukyus |
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Principal Investigator |
谷口 真吾 琉球大学, 農学部, 教授 (80444909)
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2017-04-01 – 2021-03-31
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| Keywords | 樹木の繁殖 / 開花結実 / 豊凶周期 / 安定同位体 / 繁殖資源 / 繁殖資源の配分 / 亜熱帯島嶼 / リュウキュウコクタン |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の供試木（リュウキュウコクタン）は樹高5m、胸高直径18cmの44年生雌株2個体である。2019年6月中旬、開花期後半の繁殖枝に環状剥皮を施し（剥皮区、無剥皮区）、同時に摘葉処理(摘葉しない0%摘葉区、葉数の50%摘葉区、葉面積の50%摘葉区、100%摘葉区)を行う8処理区を設けた。
2019年の繁殖枝単位に着果した果実生産数は3.15（A個体）～3.65(B個体)粒/繁殖枝であった。これは豊作年と判定した2017年の繁殖枝あたりの果実数3.58～3.85粒/繁殖枝の0.88～0.95倍であり、2019年は2017年と同様、豊作年であると判断した。さらに2019年は並昨年と判断した2018年の果実生産数（1.65～2.12粒/繁殖枝）の1.7～1.9倍であった。
安定同位体13Cのトレーサ実験は、幼果実期である2019年7月4日に2個体の0%摘葉区の繁殖枝に取り付けた厚手ビニール製簡易チャンバー内で、炭酸バリウムを含む安定同位体13Cを40%乳酸で発泡させ、CO2を同化させる方式で行った。処理後、果実成熟期前半の7月中旬と果実成熟・落下期の9月上旬の2期に処理区別に繁殖枝を採取して果実数とサイズ、生・乾重量を計測した。その後、13C安定同位体比、糖、炭素量と窒素量を定量するために採取サンプルを-40℃恒温冷凍庫内に貯蔵した。今年度の研究実施と実験進捗は、研究代表者の業務の都合によりここまでの段階であった。
次年度は2019年に採取した繁殖枝サンプルを微粉砕し、果実生産に関わる13C安定同位体の器官別の比較と転流量解析、繁殖枝の各器官別に糖、炭素、窒素の蓄積量ならびに貯蔵量を定量分析する。同時に本研究課題の最終年である2020年は、果実生産の凶作年が予測されるが、これまでに豊作年→並作年→豊作年の豊凶周期であった3年間と同様の操作実験による13Cトレーサ実験を実施する。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、琉球列島の在来種であるリュウキュウコクタンにおける繁殖資源の配分特性を操作実験によって検証し、その実験結果をもとに結実誘導に必要な繁殖資源の閾値を考察し、結実豊凶の発生メカニズムを体系化することが研究目的である。3年目の2019年は繁殖枝に施した環状剥皮と摘葉処理が及ぼす影響を安定同位体13Cのトレース実験で検証する予定であった。実験は安定同位体13Cの付与処理までは終了し分析等に必要なサンプル採取はすべて完了したものの、安定同位体13C分析が実施できなかった。さらに、種子生産に関わる光合成産物である糖、炭素、窒素の蓄積量ならびに貯蔵量を定量分析する予定であったが、操作実験区ごとの分析に必要なサンプル採取はすべて完了したが成分分析等を完了することはできなかった。このように、2019年は供試木に操作実験のための8処理区の設定と安定同位体13Cのトレース実験法による安定同位体13Cの付与処理、その後の果実成熟ステージごとの2回のサンプル採取はすべて終了したが、これ以降のサンプルの分析等の処理は研究代表者の業務の都合により、今年度の実験の進捗はこの段階までの研究実施であった。
次年度は、2019年に採取した繁殖枝のサンプルを微粉砕し、果実生産に関わる光合成産物、13C安定同位体比の転流量の解析と繁殖枝の糖、炭素、窒素の蓄積量ならびに貯蔵量を定量分析する。そして、本研究課題の最終年でもある2020年度は、これまでの3年間と同様に繁殖時期ごとに各操作実験区の繁殖枝をサンプリングし、繁殖時期別に繁殖枝の器官ごとの炭素、窒素、糖の定量分析を行って果実生産に必要な繁殖資源の配分量を推定し、結実の豊凶差による繁殖資源の配分とその収支、季節貯蔵量の変化、年総貯蔵量を把握する。最終的な研究成果として、操作実験による繁殖資源の配分をパターン化後、結実誘導に必要な繁殖資源の閾値を論考する。
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| Strategy for Future Research Activity |
リュウキュウコクタンの開花結実には豊作、並作、凶作の豊凶年周期（マスティング）があり、開花結実のレベルが最大になる年と結実しない年の調査データを確保する必要性がある。2017年（平成29年）は小豊作年であった。2018年（平成30年）は並作年であり、2019年（平成31年・令和1年）は豊作年であった。最終年の2020年（令和2年）は凶作年であることを推定している。研究期間の4年間、次の3項目の研究課題を同じ研究方法により毎年継続実施し、調査データの年蓄積を重ねる。
１．13C安定同位体の標識実験によって、種子生産の炭素源は「結実当年に生産された比較的新しい光合成産物（炭水化物；可溶性糖＋デンプン）」、あるいは「結実年以前に枝に樹体内貯蔵された貯蔵炭水化物（可溶性糖＋デンプン）」のどちらかが種子生産に貢献、寄与しているかを解明する。
２．繁殖枝の各器官のＮ分析により種子生産の窒素源は「根から吸収した窒素」か「結実年以前に枝に樹体内貯蔵された窒素（貯蔵窒素）」のどちらであるかを解明する。
３．定期的に繁殖ステージ別に採取した繁殖器官別のシュート長と乾重、葉数、葉サイズを計測し繁殖器官ごとの糖分析、炭素、窒素の定量分析を行う。
本研究課題の最終年である2020年度は、これまでの3年間と同様に繁殖時期ごとに各操作実験区の繁殖枝を採取し、繁殖枝器官ごとの炭素、窒素、糖の定量分析を行って果実生産に必要な繁殖資源の配分量を繁殖時期別に推定する。さらに、4年間の実験結果を総括、検討し、結実の豊凶差による繁殖資源の配分とその収支、貯蔵炭水化物量（可溶性糖＋デンプン）、貯蔵窒素量の経時データを繁殖枝ごとに集積し、種子生産に関わる繁殖資源の季節貯蔵量、年総貯蔵量の変化量を把握する。そして、本研究の最終目標である、操作実験による繁殖資源の配分特性をパターン化して結実誘導に必要な繁殖資源の閾値を論考する。
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| Causes of Carryover |
予算は安定同位体トレーサ実験を行うため、繁殖枝に設置したビニール製の簡易チャンバー内で発生させる安定同位体の試薬13C炭酸バリウムの購入費と分析機器（HPLC)の使用料、競争関係にある研究者との研究手法の意見交換や研究結果のディスカス、打ち合わせのための出張旅費に執行した。しかし、トレーサ実験関係の一連の処理後、安定同位体13Cの付与処理までは正常に終了しサンプル採取もすべて完了したものの、これ以降の採取サンプルの安定同位体13Cの質量分析は実施できなかった。同時に、安定同位体13Cの質量分析後に種子生産に関わる糖、炭素、窒素の蓄積量ならびに貯蔵量を定量分析する予定であったが、操作実験区ごとのサンプル採取はすべて完了したものの各種の成分分析等を実施することはできなかった。このように2019年は、研究代表者の業務の都合により、今年度の実験の進捗はこの段階で終了した。このため、予算執行が不可能となり次年度使用額が生じたものである。ちなみに、研究代表者の業務の都合とは今年度、当該者は予期せぬ1年限りの管理職である学科長の就任後の業務遂行に忙殺され、各種の分析作業がまったく出来なかったことによる。
2020年の計上予算は、2019年と同様に安定同位体13Cを用いたトレース実験を行い関係する成分分析の実施と2019年に完了した果実の成熟ステージごとの採取サンプルを用いた各種の成分分析に使う。
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Research Products
(2 results)
