2018 Fiscal Year Annual Research Report
海藻アラメからエタノールと食品機能成分を生産する新技術開発と海藻産業への応用研究
Project/Area Number |
17K07936
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
辻 明彦 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 教授 (20155360)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アラメ / 海藻 / 褐藻類 / セルラーゼ / 糖化処理 / EHEP / ポリフェノール / フロロタンニン |
Outline of Annual Research Achievements |
褐藻類からエタノール生産とポリフェノールであるフロロタンニンの分離、応用を組み合わせた海藻利用技術を開発し、海藻を使った新産業の育成に貢献することを目的として、 褐藻類の効率的な糖化条件、アメフラシ消化液に存在するフロロタンニン結合タンパク質、EHEPの性質、アメフラシセルラーゼの作用機構、フロロタンニンの生理作用について検討した。特に、GHF45に属する21kDa セルラーゼの作用機構について解析し、本酵素がセロビオハドロラーゼと同様にセルロース繊維に強固に結合し、セロビオースを遊離すること、他のbeta1,4-エンドグルカナーゼと強いシナジー効果を示し、アメフラシ消化液のセルロース分解システムにおいて非常に重要な酵素であることを証明した。さらに、廃棄物であるワカメ茎、メカブの有効利用を開発するため、海藻糖化のための前処理方法、アミエビ酵素の利用について検討し、アミエビ抽出液の併用によって、産業用セルラーゼの必要量を20分の1に減少させ、コストダウンできる方法を開発した。EHEPとフロロタンニンの作用機構は、EHEPの結晶構造解析とEHEP変異体の機能解析により分子レベルで明らかにした。EHEPの108番目のアスパラギン残基がフロロタンニンの結合に最も重要であることが判明した。また、フロロタンニンとEHEPの結合は弱酸性が至適pHであるが、pH7.5以上ではフロロタンニンが遊離し、EHEPとフロロタンニンの結合は可逆反応であることがわかった。フロロタンニンは培養小腸上皮細胞と反応させると、特にシグナル伝達を制御する遺伝子の発現が変動することが、マイクロアレイ法によって証明された。以上の結果より、アラメ等の褐藻類に含まれるフロロタンニンは、有用な食品機能成分として活用できる可能性が示された。
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Research Products
(5 results)