2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K07947
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
大平 剛 神奈川大学, 理学部, 教授 (10361809)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬久地 みゆき 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 中央水産研究所, 研究員 (40594007)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 造雄腺ホルモン / 甲殻類 / アメリカザリガニ / 化学合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.アメリカザリガニ造雄腺の移植実験 前年度、雄のアメリカザリガニから顕微鏡下で造雄腺を摘出し、ファラクスの第5歩脚の底節に自作の柄つき針で穴を開け、そこに造雄腺を移植した。その結果、6%の個体で雄性化が観察された。今年度は、造雄腺を移植したファラクスを長期間飼育し、観察を続けた。その結果、造雄腺を移植したファラクスのうち2個体で、第一腹肢と第二腹肢が肥大化し、石灰化した。これは、アメリカザリガニ科のザリガニの雄で観察される外部形態に見られる特徴であった。しかし、外部形態が明確に雄性化したのはわずか2個体のみであったことから、解剖は行わずに、もう少し飼育を継続することにした。
2.化学合成アメリカザリガニ造雄腺ホルモン(Prc-AGH-2)の投与実験 化学合成Prc-AGH-2をファラクスの第1腹節と第2腹節の殻の間に注射した。化学合成Prc-AGH-2の注射量は、ファラクスの体重0.4 gあたり1 マイクロgとした。対照群は生理食塩水を注射した。注射した個体は、雄性化を観察しやすくするために、全個体の右側の第1腹肢と第2腹肢を切除した。注射後、数ヶ月間の飼育を行った結果、化学合成Prc-AGH-2を投与した144尾中の7尾で第1腹肢の肥大化が観察された。一方、生理食塩水を投与した65個体には、第1腹肢、第2腹肢の外部形態に変化は観察されなかった。これらの結果より、本研究で化学合成したPrc-AGH-2は雄性化を誘導する活性を有すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度の主要な目的としていた活性型のアメリカザリガニAGH(Prc-AGH-2)を合成することに成功した。また、化学合成Prc-AGH-2を注射して雄性化したファラクスを長期間飼育しており、完全な性転換の誘導を試みている。これらのことから、本課題は概ね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
性転換前のファラクスの卵巣と、性転換したファラクスの精巣からRNAを抽出して網羅的なトランスクリプトーム解析を行う。そして、性転換前と性転換後の発現遺伝子を比較し、性転換に関わる遺伝子群を抽出する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額はごくわずかであり、次年度研究計画に変更はない。消耗品購入に使用する。
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