2019 Fiscal Year Annual Research Report
Trade-off relationships among growth, seawater-adaptation, and disease resistance through antagonistic effects of endocrine factors in salmonid
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17K07950
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
矢田 崇 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 中央水産研究所, グループ長 (80372043)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 水産学 / 回遊 / 行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
ストレス負荷したニジマスから単離した末梢血白血球(PBL)では、カスパーゼ-6とIGF-IのmRNA量が有意に上昇し、IL-1 betaと副腎皮質ホルモン受容体(CR)では減少傾向が見られた。対照のPBLでは、培養下でのコルチゾル処理に反応してCR mRNAが有意に上昇したが、ストレス負荷した魚では反応性が見られなかった。対照のPBLでは、リポ多糖(LPS)処理によってIL-1 betaとCRのmRNAが上昇していたが、ストレス負荷した魚では、IL-1 betaは上昇させたが、CR mRNAには影響が見られなかった。細胞増殖活性は、対照ならびにストレス負荷した魚の両方のPBLで、コルチゾルで減少、LPSで増加していた。細胞死したPBLの割合は、コルチゾルにより両グループで増加していたが、LPSに刺激された細胞死の上昇は、ストレス負荷した魚でしか認められなかった。コルチゾルはその受容体の抑制的制御と脱感作に関わらず、ストレス下の魚に免疫抑制効果を持つことが示された。 スチールヘッドトラウトの長期海水馴致実験では、淡水と比べて血漿リゾチーム活性が高くなっていた。下垂体では、成長ホルモンmRNA量が高く、プロラクチンは低かった。また鰓では淡水型のナトリウムポンプNa+,K+-ATPase-1 alpha A mRNA量が低く、海水型のalpha 1Bは高くなっていた。海水馴致個体の鰓・表皮・白血球の各種ホルモン受容体と免疫関連遺伝子のmRNA量には、全般に低くなる傾向が見られた。一方腸管では、各種ホルモン受容体のmRNA量が大きく上昇していた。魚類の海水適応と、免疫及び腸管内分泌との関連性が示唆された。
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