2017 Fiscal Year Research-status Report
韓国の米産業発展対策における米農業の競争力強化に関する実証研究
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17K07966
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
品川 優 佐賀大学, 経済学部, 教授 (10363417)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 米 / トゥルニョク経営体 / 農業構造 / 直接支払い / 二毛作 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,韓国において米を関税化した際に政府が打ち出した,米産業発展対策による米農業の競争力強化の検証をテーマとしている。 今年度は,統計データから韓国の米農家の構造を把握する予定であった。しかし,その基礎的資料である農業センサスの確保に手間取ったため,統計データにもとづく韓国農業構造の変化については,次年度の課題として持ち越すこととなった。 その一方で,日本の集落営農に相当するトゥルニョク経営体について,その目的や実践実態等について調べ,その研究成果の一部は関連雑誌に掲載している。韓国のトゥルニョク経営体とは,日本の集落営農を模範としたものである。しかし共通点は,共同かつ大規模化といった表層に限定される。これら表層を規定する「むら」については,全く異なる。韓国は日本のような「むら」は存在していない。それは,歴史的に水田稲作の日本と,畑作を基本とする韓国との相違である。つまり地縁的な結び付きに依拠した日本の集落営農に対し,韓国では地縁的な結び付きはなく,あくまでも人的結合にもとづいた共同・大規模化という点で大きく異なる。このような根本的な相違と,それを土台とした共同化・組織化・大規模化という相違が確認できる。 また,日本と同じく,農業労働力の高齢化,後継者不在がみられるが,日本以上に二極化が進んでいる。その根底には,一定の規模であれば,日本以上にそれなりの所得になることが,日本とは異なる韓国の米産業の特徴といえる。特に,米所得等補填直接支払いの実施,目標価格の底上げなど,政策面でのサポートも日本とは正反対の状況にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
韓国農村経済研究院での韓国農政,米農業の実態・展望等についてのヒアリング調査,資料収集などをおこなうことができたこと,農業センサスの確保については当初予定より後手に回ったが,これから十分挽回できる段階であり,総合的に「概ね順調」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
農業センサスによる韓国農業構造の変動の確認,現地調査による大規模農家及びトゥルニョク経営体の実践実態や課題等について考察する。
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Causes of Carryover |
他の共同科研において,予想よりも多い直接経費をあてがわれたこと,また招聘予定であった韓国研究者との調整がつかなかったことも,当初予定より少ない支出で済んだ 招聘予定の研究者を今年度招聘する等,適切な使用を図る。
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Research Products
(13 results)