2017 Fiscal Year Research-status Report
台風常襲・市場遠隔地域における園芸産地の形成とリスク管理重視のSCMに関する研究
Project/Area Number |
17K07968
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
内藤 重之 琉球大学, 農学部, 教授 (30333397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 幹久 京都産業大学, 経営学部, 教授 (70351690)
杉村 泰彦 琉球大学, 農学部, 准教授 (80405662)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 園芸産地 / リスク管理 / サプライチェーンマネジメント / 市場遠隔地域 / 台風常襲地域 / 島嶼地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
サプライチェーンリスクマネジメント及びそれに関連する国内外の164報の論考を収集し、レビューを行った。 また、沖縄県花卉園芸農協(以下、花き農協)、東京都内及び大阪府内の卸売市場の卸売業者等へのヒアリング調査ならびに文献調査の結果、次の点を明らかにした。花き農協と沖縄県経済連(現JAおきなわ)は当初、小ギクを定期航空便で出荷していたが、出荷量の増大に伴い、年末と春の彼岸の物日需要への対応として航空機のチャーター便を使用するようになり、バブル経済の崩壊後には低価格化に対応するために船舶の利用を進め、安定供給を実現している。沖縄県での小ギクの産地化以前には冬春季に小ギクを供給する産地は都市近郊の小規模産地に限られていたため、同時期の小ギクの消費は限定的であったが、沖縄県の両農協組織が安定供給を実現したため、都市近郊産地は品目転換を余儀なくされる一方で、同時期における小ギクの需要が大幅に拡大した。 現在では沖縄県産小ギクは冬春季における国内シェアの9割以上を占めているが、県内産小ギクの約5割を取り扱う花き農協は台風の影響による供給量の不確実性に対応するために、主に次の2つの方法でリスク管理を行っていることを明らかにした。第1に、子会社としてインドネシアの西ジャワ州に(株)トランスプランツインドネシアを設立し、種苗生産を同社に委託することによって組合員が必要とする種苗の安定確保を図っている。第2に、11~12月出荷については定植直後に台風の被害を受ける可能性があるため、施設栽培の導入を推進しており、2000年以降には比較的安価に導入できる平張施設の導入を特に推進している。しかも通常の栽培用施設と比較して安価に導入できるとは言え、個別農家では対応が困難なところもあることから、同農協が補助事業の事業主体になって平張施設を建設し、組合員に貸し出すリース事業を積極的に展開している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
JAおきなわへの調査など当初計画どおりに進んでいない部分があるものの、沖縄県花卉園芸農協への調査などは計画以上に進んでいることから、全体としてはおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は当初の計画どおり、沖縄県における小ギクの産地形成過程とリスク管理重視のサプライチェーンマネジメントの実態を解明するために、沖縄県花卉園芸農協とその子会社である(株)トランスプランツインドネシア、JAおきなわとその子会社である(株)サザンプラント及びそれら農協の主な取引先である卸売市場の業者に対してヒアリング調査を実施するとともに、文献調査等を継続する。
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Causes of Carryover |
情報収集を行うために、例年3月に開催される日本農業経済学会大会に参加する予定であったが、今年度は例外的に5月に開催されることになったため、その学会参加旅費を次年度(5月)に使用する計画である。
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Research Products
(1 results)