2018 Fiscal Year Research-status Report
台風常襲・市場遠隔地域における園芸産地の形成とリスク管理重視のSCMに関する研究
Project/Area Number |
17K07968
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
内藤 重之 琉球大学, 農学部, 教授 (30333397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 幹久 京都産業大学, 経営学部, 教授 (70351690)
杉村 泰彦 琉球大学, 農学部, 准教授 (80405662)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 園芸産地 / リスク管理 / サプライチェーンマネジメント / 市場遠隔地域 / 台風常襲地域 / 島嶼地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
サプライチェーンリスクマネジメント(以下、SCRM)の研究でも一般的なサプライチェーンマネジメントの研究で有効性が論証・実証されている戦略-構造-プロセス-パフォーマンス(以下、SSPP)の枠組みが有効であるか検討するために、テキスト分析と文献レビューを行った。外国雑誌・論文オンラインデータベースEBSCOhostのキーワード検索機能を使用してテキスト分析を行った結果、戦略とパフォーマンスについては頻出しており、共起ネットワークをみてもSCRMに関する中心的な研究テーマとなっていることが明らかになった。しかし、文献レビューの結果も含めて検討した結果、SCRMにおけるSSPPに関する研究はまだそれほど蓄積されていないことがわかった。今後研究を進めていく上で、アグリビジネスのサプライチェーンに焦点を当てることが有効であると考えられる。 また、沖縄県花卉園芸農協とその子会社であるインドネシア西ジャワ州の(株)トランスプランツインドネシアへのヒアリング調査の結果、同農協は台風の影響による供給量の不確実性に対応することなどを目的として同社を設立し、種苗生産を委託することによって組合員が必要とする種苗の安定確保を図っているが、近年では次の点が課題となっていることが明らかになった。第1に、同国の輸出入管理が厳しくなり、事前申請した品種別数量を大幅に変更できなくなっているため、種苗供給の柔軟な対応が困難になりつつあることである。第2に、現地の賃金水準が高騰しており、種苗生産コストが高まっていることである。 さらに、沖縄県花卉園芸農協ではセットで消費される赤・白・黄の3色の小ギクをほぼ同量ずつ計画通りに遠隔地にある消費市場の卸売業者に供給するために、生産面でのリスク管理とあわせて、流通面でも船舶輸送と航空輸送を組み合わせて輸送するなど、高度な供給システムを実現していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
沖縄県花卉園芸農協やトランスプランツインドネシアへの調査などは順調に進んでいるが、JAおきなわや卸売市場への調査など当初計画どおりに進んでいない部分があるため、全体としてはやや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は沖縄県における小ギクの産地形成過程とリスク管理重視のサプライチェーンマネジメントの実態を解明するために、JAおきなわとその子会社である(株)サザンプラント及びそれら農協の主な取引先である卸売市場の業者に対してヒアリング調査を実施するとともに、リスク管理重視のサプライチェーンマネジメントの理論構築を行う。 また、これらの成果を学会において報告するとともに、学術論文を投稿する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた卸売市場の業者を対象としたヒアリング調査が一部できなかったため、次年度使用額が生じたが、翌年度にその調査を含めて実施する計画である。
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Research Products
(2 results)