2018 Fiscal Year Research-status Report
農業被害をもたらす外来ザリガニの管理・駆除手法の検討
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17K08005
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中田 和義 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (70431343)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アメリカザリガニ / 外来種 / 駆除手法 / 水田漏水 / 巣穴 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,希少種を含む在来生物に深刻な悪影響を与えているとともに,巣穴を掘って水田漏水を引き起こすなどの農業被害をもたらしている外来種アメリカザリガニについて,効率的な管理・駆除手法を検討することである。アメリカザリガニは,環境省と農林水産省によって2015年に公表された「生態系被害防止外来種リスト」で,緊急対策外来種に選定されている。 平成30年度の研究では,平成29年度の研究の継続実験として,1)エビ篭の入口の大きさが捕獲個体数に及ぼす影響と,2)入口の構造を改良したペットボトル製トラップによる捕獲駆除効果について検証する野外実験を実施した。加えて,3)アメリカザリガニの巣穴がもたらす水田漏水量を評価するための基礎的な室内実験を行った。1の実験では異なる入口サイズ(3cm, 4cm, 6cm)のエビ篭を,2の実験では入口の構造が異なるペットボトル製トラップをアメリカザリガニが定着・増殖している池にそれぞれ仕掛け,捕獲効果について比較評価した。本野外実験は2017年10月に着手して以降,2018年9月まで毎月実施したことで,捕獲駆除効果の高い季節等の知見も得られた。3の実験では,水田土壌を満たしたワグネルポットにアメリカザリガニを入れ,巣穴を掘るかどうかを観察した。そして,巣穴の有無により土壌を含む流出物の質量を比較した。以上の研究から得られた主要な結果は以下のとおりである。 ・アメリカザリガニの捕獲には,入口サイズ3cmと4cmのエビ篭および入口サイズを大きくした改良型ペットボトル製トラップが有効であった。 ・1年間の捕獲実験の結果から,本種の捕獲数は5~10月にかけて多くなり,この時期の捕獲が駆除では有効と考えられた。 ・アメリカザリガニはワグネルポット内の水田土壌に高頻度に巣穴を掘った。また,巣穴長が長くなると水田漏水をもたらす可能性が高くなると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度に実施する予定であった室内実験の一部について,実験準備の都合上,次年度に実施することとした。研究全体としては,おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
アメリカザリガニの巣穴がもたらす水田漏水量の評価について,平成30年度の実験は冬季(低温期)に実施したが,令和元年度の実験では,アメリカザリガニの活性が高くなり,より積極的に巣穴を掘ると思われる高温期にも実施し,結果に対する季節の影響等を評価する予定である。また,屋外水槽等を用いることで,実際の圃場により近い環境下でも同様の実験を実施する予定にしている。 最終的には,3年間の研究成果を取りまとめて,アメリカザリガニの効率的な捕獲駆除手法について提案したい。
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Causes of Carryover |
平成30年度に実施予定であった室内実験の一部を平成31年度に実施することになったため,実験用機材等の購入費や,本実験に関する研究打合せのための旅費を翌年度に繰り越した。平成30年度に未実施となった室内実験の一部は,令和元年度に実施する予定である。
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Research Products
(8 results)