2017 Fiscal Year Research-status Report
高齢作業者の能力を活用するかんきつ類収穫支援ロボットの開発
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17K08035
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Research Institution | Matsue National College of Technology |
Principal Investigator |
藤岡 美博 松江工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (80321470)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 柑橘類 / 収穫作業 / XBee / 位置推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は,瀬戸内海島しょ部にある柑橘類系の果樹園での収穫作業を支援するロボットの開発を目的としている.ロボットは,この運搬作業を自律的に行うことで作業者の収穫を支援する.そこで,ロボットに,作業者またはコンテナの自機からの位置推定機能を実現する. そこで,電波関連の資格も不要であり,1個あたり数千円程度の通信機XBeeを使用する.今回は,XBee S2C を発信器用,受信器用1個ずつを用いている.Solidworks を用いて放物線を作成し,表面から焦点距離が60 mm のパラボラ型リフレクタを設計した. 3Dプリンタ(Objet30 Pro,積層ピッチ 16 μm,ストラテシス社)でアクリル系材料を用いて幅約157 mm,高さ約71 mm のリフレクタを製作した.このリフレクタの表面には導電性アルミ箔を貼りつけた.このリフレクタにXBeeを取り付け,XBee用ソフトウェア XCTU の電波受信強度RSSIを測定する機能を用いた測定実験を行った. その結果,障害物のない環境で,送受信器の距離が一定でもリフレクタの方向を変化させることにより受信器のRSSI値が変化することを確認した.また,発信器との距離によりRSSI値が変化することも確認したため,送信器1個とリフレクタ付き受信器1個の計2個のXBeeにより作業者の距離と方向を推定する可能性が示された.ただし,リフレクタからの反射波と送信器からの電波の干渉により送受信器の距離が10m程度ではRSSI値が想定される値より小さくなる結果となったため,電波の干渉を取り除く方法について検討していく予定である. また,送信器と受信器の高さに 約 450 mm の差があった場合も,同様に,発信器の方向と距離に応じたRSSI値の測定が行えた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の進捗状況は,“やや遅れている”である.本年度は,受信器のリフレクタ形状をパラボラ型に変更し,送受信器の高さの差に対応する位置推定システムの作成を試みた.受信器として予定通りXBeeを使用し,リフレクタは,軽量化も考慮して3Dプリンタ(Objet30 Pro,積層ピッチ 16 μm,Stratasys社製)を使用した.このリフレクタの表面上に3M製の導電アルミ箔 AL-50BT (幅10mm)を貼り付けた.このとき,局面上にできるだけしわがよらず,幅の広いものと考え,10 mmのものを採用した.しかし,手作業のため十分な精度とできたかどうかの検証が困難である.また,使用したアクリル材も現在,コストが高く,リフレクタの素材として十分とは言いがたい.一方,マシニングセンタ等での作成では,一般的なボールエンドミルの直径が0.2 mm程度であることを考えると,その後の研磨作業等が必要となるため,リフレクタの作成手法について検討を要すると判断した. また,パラボラ型リフレクタでは,電波干渉によるRSSI値と距離との不整合といった課題もあり,単純なパラボラ型リフレクタでの位置検出システムの実現はやや難しいことがわかったため,リフレクタの設置方法も含め,リフレクタの大きさ・形状を含め,製作やコスト面を考慮したリフレクタの実現方法を確立したい. 以上のようにパラボラ型リフレクタの製作法および材料等に課題が多く検討項目が増えたため,進捗状況はやや遅れた結果となった.
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Strategy for Future Research Activity |
従来研究で行った扇型のリフレクタの形状も参考にして,まずリフレクタ上部の覆い部のない扇型のリフレクタを作成する.作成した扇型リフレクタを用いてRSSI値実験を行って,リフレクタの方向を変えることによってRSSI値の変化が生じるかどうかを確認する.この結果が良好であれば,送信器と受信器の高低差のある状態でRSSI値を測定する.この測定結果がパラボラ型リフレクタと比較して良好であれば,再度こちらのリフレクタを使用することを前提として,より詳細なリフレクタの角度および距離とRSSI値の関係を明確にし,その分解能について検証する. 並行して効率も考慮してクローラではなくタイヤをもったロボット本体を設計・製作するとともに,まだ性能的に十分でない運搬機構についても設計し,改良したロボット本体を製作する. 製作したロボットへのリフレクタの設置位置等の設置方法および設置した状態を確認し,リフレクタの大きさについての検討も行う.推定精度が十分でないと判断できる場合は,複数の受信器設置による三角測定法を基礎とした,位置推定方法についても検討したい. また,可能であればリフレクタを設置したロボットによる果樹園の走行試験を行って,リフレクタの強度および保護方法などについても考察を行いたい.
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Causes of Carryover |
ロボット本体の製作が年度内に間に合わなかったこととあわせ,アンテナ製作および実験にやや遅れが生じたため,予定していた現地での測定実験が行えなかった.そのため,現地への旅費の消化ならびに協力農家への謝金等の支払いが不要となった. 平成30年度は,早期にアンテナシステムの改良を行い,現地果樹園でのアンテナ測定実験および位置推定システムの検証を行う. この検証結果をもとに,リフレクタおよびロボットの改良を加え,再度年度末付近で現地果樹園の協力の下実地試験を行う. また,得られた知見を公開するとともに関連学会等へ積極的に参加し,農業用機械に関する研究動向を調査してより改善できるように試みる.
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Research Products
(1 results)