2019 Fiscal Year Annual Research Report
The role of oxidized proteins in the removal of damaged muscle fibers
Project/Area Number |
17K08067
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
岩崎 智仁 酪農学園大学, 農食環境学群, 教授 (30305908)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 筋損傷 / 酸化タンパク質 / ニワトリ異常硬化胸肉 |
Outline of Annual Research Achievements |
継続して実施していたmdxマウス骨格筋中の酸化型SH基含有タンパク質の電子顕微鏡観察については,灌流固定を応用することで良好な結果を得ることができた.すなわち,金コロイドが筋小胞体と考えられる組織構造部位に多く局在している様子が観察された.筋小胞体表面に存在するRyR(リアノジン受容体)はその構造中に多くのシステイン残基を有しており,酸化ストレスによって酸化されやすいことが報告されている.したがって,本研究によって金コロイド標識された酸化タンパク質は,RyRである可能性が考えられた. 最終年度としては,ブロイラーに多発している異常硬化胸肉への展開を行った.ブロイラーの異常硬化胸肉中にはリポフスチンの蓄積と酸化タンパク質の形成が明らかとなった.形成された酸化タンパク質の種類としては,ニトロシル化タンパク質と酸化型SH基含有タンパク質,不可逆的酸化タンパク質としてはジチロシンが,各ステージの筋損傷部位に認められた.また,肉の硬さの指標として剪断力価を測定した.さらにアザン染色により,異常に硬化している部位では筋肉内結合組織の肥厚が認められた.リポフスチンの蓄積と肉の硬さの指標である剪断力価に高い正の相関(r=0.604)が認められた.したがって,異常硬化胸肉の発現に酸化ストレスが影響していることが強く示された.加えて,異常効果胸肉の死後変化を調査したところ,解硬後に複数日保存しても著しく硬いことが明らかになり,その利用において一助になるデータが得られた.これらの研究で明らかになった知見は,そのほかに得られた基礎データとも合わせて,給餌飼料の栄養価などを適切化することで,異常硬化胸肉発現を低減させる飼育方法の開発に繋がる重要なものであり,今後の活用が期待される.
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