2018 Fiscal Year Research-status Report
ウサギの盲腸糞形成と輸送に関与する腸神経系の免疫組織化学的研究
Project/Area Number |
17K08121
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
柴田 秀史 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (50145190)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 腸神経系 / ウサギ / 大腸 / 大腸壁 / 胃 |
Outline of Annual Research Achievements |
ウサギにおける盲腸糞の形成という複雑な消化機構を解明するためには,腸管のみでなく胃における蠕動運動・腺分泌の神経制御機構を明らかにする必要がある.そこで,粘液染色により胃腺分布領域区分を確認し,それに基づき壁内神経叢の分布を明らかにした.胃粘膜のほとんどの領域は固有胃腺が占有し,噴門腺は噴門部の非常に狭い領域に,幽門腺は幽門口側約1/4の領域に限局して認められた.筋層間神経叢(MP)および粘膜下神経叢(SP)の網目構造は全ての領域において認められた.噴門腺領域では,MPは大小の神経節が不規則に配列し,SPには神経節がほとんど存在しなかった.固有胃腺領域では,MPは大小の神経節が規則的に配列し,肛門側ほど神経節は大きく多数で,神経束は太く,網目構造はより緻密で規則的であった.SPは小型の神経節が少数認められるものの,肛門側では減少し,ほとんど認められなかった.幽門腺領域では,MPは大型の神経節と固有胃腺領域よりさらに緻密で規則的な網目構造が認められた.SPは神経節がほとんど認められず,太い神経束が認められた.以上の結果によって,胃の運動および腺分泌に対する壁内神経叢の関与の違いが示唆された. 次に,ウサギ大腸におけるソマトスタチン陽性神経系の分布を明らかにした. ソマトスタチン陽性神経は,MPにおいては,結腸紡錘にもっとも密に分布しており,ついで,遠位結腸,近位結腸,盲腸の順に減少した.SPにおいては,近位結腸に多く,ついで,結腸紡錘,遠位結腸,盲腸の順に減少した.粘膜においては,近位結腸と結腸紡錘に豊富に分布しており,ついて,遠位結腸,盲腸の順に減少した.以上の結果,ソマトスタチン陽性神経は,腸管運動と粘膜における液体成分移送の制御において重要な役割を果たしている可能性が示唆された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ウサギ大腸壁の構造が予想よりも複雑で,予想されていたより,より多くの分節からデータを取得し,実験を行う必要があることが明らかになってきており,取得すべきデータが予想よりも多く,実験と解析に時間がかかっているために進捗がやや遅れている.
|
Strategy for Future Research Activity |
大腸壁および大腸壁を構成する各層のそれぞれの厚さを計測し,大腸の分節ごとの定量的比較研究のデータおよび大腸粘膜における粘液細胞の分布に関するデータは取りまとめて現在投稿中であり,リバイスの段階である.査読者のコメントに従って,追加データを加えて,次年度内にアクセプトされることを目指している.大腸壁の腸内神経叢に関するデータは,汎神経マーカーを使用したデータはすでに揃っているので,今年度内に,ソマトスタチンに加えて,現在進行中の他のマーカーすなわち一酸化窒素合成酵素,非リン酸化ニューロフィラメントH,カルビンジンそれぞれの陽性構造のデータを年度内に追加し,ウサギ腸神経系の化学構築を解明する.
|
Causes of Carryover |
データの取りまとめに時間がかかり,実験計画の進行が予定よりも若干遅くなったため.次年度は,残額と合わせて予算をすべて使用するように研究を進める予定である.
|
Research Products
(2 results)