2017 Fiscal Year Research-status Report
キチン酸化酵素フゾリン発現作物作出による微生物農薬殺虫活性の飛躍的向上
Project/Area Number |
17K08160
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
小沢 憲二郎 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, ユニット長 (10442782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三橋 渡 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 再雇用職員 (00414946)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | フゾリン / 有用物質生産 / キチン酸化酵素 / 囲食膜 / 害虫防除 / 遺伝子組換え作物 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物発現用ベクターを、以下の外来遺伝子とプロモーターを使用して構築した。外来遺伝子は、フゾリン遺伝子(ドウガネブイブイ寄生の昆虫ポックスウイルス由来)及びBt毒素(CryA1c)遺伝子の単独、あるいは両方、プロモーターは、35Sプロモーター、またはより高発現を目指したRubisCOプロモーターを35Sプロモーターに連結したものである。次に構築したべクターをアグロバクテリウム法により、ブロッコリー(緑嶺)、タバコ(SR-1)に導入した。選抜マーカーは、ハイグロマイシン耐性遺伝子(HPT)とした。ハイグロマイシン耐性を示す再分化個体について、PCRによってフゾリン遺伝子またはBt毒素遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子の確認を行った。発現系統の一部では交配によりF1個体を得た。 次に、Bt毒素遺伝子、あるいはフゾリン遺伝子を導入したタバコ葉を粉末にし、単独、または両者を腐葉土に混ぜ、その腐葉土中でドウガネブイブイ1齢、2齢幼虫を飼育し、前者は4日後、後者は7日後の死亡率を腐葉土のみで飼育した場合と比較することにより、粉末の殺虫性を評価した。その結果、1齢幼虫で、Bt毒素遺伝子単独発現葉の粉末を加えた場合に2系統で殺虫活性が認められた。一方、両者粉末を加えた場合は、Bt毒素遺伝子単独発現葉の粉末を加えた場合と比較して死亡率の上昇は認められず、フゾリン発現葉の活性(Bt毒素の殺虫活性の増進)は特に認められなかった。この理由として、フゾリン発現量が増進活性を示す閾値以下である可能性、葉の乾燥時の高温によるフゾリンの不活化の可能性が考えられたので、次年度以降の実験方法の変更によりこの点を明らかにする必要が生じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フゾリンやBt毒素を単独で、または両方を作物(タバコ、ブロッコリー)に導入し、その際プロモーターも35S 単独あるいは35SとRubisCO両方を導入するなど、目標の種々タイプの遺伝子組換え作物の複数系統の作出に成功したため。さらに一部系統の生物検定を開始し、Bt毒素遺伝子を導入したタバコのコガネムシ(ドウガネブイブイ)への殺虫効果も確認できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
作出した組換え作物の活性検定を種々昆虫を利用して行う。タバコ使用の生物検定では、マメコガネ幼虫の防除効果の有無を葉粉末を腐葉土に混ぜたものを与えて検証する。ブロッコリーでは、害虫であるアメリカシロヒトリやハスモンヨトウに葉を添食させ、内包するフゾリンの核多角体病ウイルスの感染力増進作用の有無やBt毒素の殺虫効果を検定する。アメリカシロヒトリの場合、ウイルス浮遊液(展着剤含有)に葉を浸漬してから添食する。また、ハスモンヨトウの場合は、両遺伝子またはBt毒素遺伝子のみ導入株の葉を添食させ両者間での殺虫力の比較によりフゾリンの効果を判定する。
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Causes of Carryover |
研究の遅延に伴い雇用計画の遂行が遅れた結果、人件費の支出が予定より遅くなり未執行額が生じた。この額と次年度交付金と合わせた額を主に人件費に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)