2018 Fiscal Year Research-status Report
庄内沿岸極浅海堆積物において棲み分けを行う嫌気的メタン酸化古細菌に関する研究
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17K08165
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
服部 聡 山形大学, 農学部, 准教授 (40373352)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 嫌気的メタン酸化 / 硫酸還元細菌 / メタン生成古細菌 / 堆積物 / 16S rRNA遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では山形県庄内沿岸河口域の極浅部堆積物において見出された嫌気的メタン酸化活性を担う古細菌および、当該古細菌と共生関係を構築していると推察される硫酸還元細菌の生理生態の解明と純粋分離を目的としている。本年度は硫酸還元細菌の生態を明らかにするため、次世代シーケンサーを用いた網羅的菌叢解析を行うとともに、ANME古細菌、メタン生成古細菌、硫酸還元細菌の培養化を試みた。酒田市酒田北港豊川河口域の堆積物約1 mを半円筒形試料採取器を用いて採取し、深度10-20 cmの低深度、深度75-85 cmの中深度、深度105-115 cmの高深度に分画した。各々の堆積物からゲノムDNAを抽出し、16S rRNA遺伝子V4領域を対象としてillumina MiSeqによりpaired endシーケンシング(250bp x2)を行なった。出力された塩基配列からキメラ配列を除去後、菌叢解析用パイプラインQiime2により菌叢解析を行った。解析の結果、硫酸還元細菌関連ではDesulfobacterales目に属するものが低深度堆積物において全体の22.6%、中深度堆積物において3.2%、高深度堆積物において8.2%を占めた。Desulfobacterales目に属する硫酸還元細菌は、Desulfobacter属やDesulfotomaculum属において水素を電子供与体とした硫酸還元を行うものが報告されている。このため、これらの系統に属する硫酸還元細菌がANME古細菌(ANME2a-2b)による嫌気的メタン酸化により生成した水素を消費している可能性が考えられた。また、培養においては固化材としてジェランガムを用いた絶対嫌気培地を調製し、水素/二酸化炭素を基質としてメタン生成古細菌の培養を試みた。同様に硫酸塩存在下で硫酸還元細菌の培養も試みた。現在、継続して培養を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
培養において、寒天の代わりにジェランガムを用いる等の培地の改良や、堆積物の希釈率を下げる等、植菌条件の改良を行なっているが、依然生育率が芳しく無い状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
液体培養と個体培養を組み合わせ、植菌量の調整を行う等、培養法の改良を行う。また、培養されているものについては、純化を進める。
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Causes of Carryover |
実験遂行上、試薬や器具など急に支出する必要に備えたため。
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