2017 Fiscal Year Research-status Report
Private and informal green space as green infrastructure: towards participatory maintenance policies
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17K08179
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
古谷 勝則 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 教授 (10238694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ルプレヒト クリストフ 総合地球環境学研究所, 研究部, 研究員 (90783895)
高瀬 唯 茨城大学, 農学部, 助教 (00793803)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | グリーンインフラ / 緑地 / 非公式緑地 / 雨水浸透 |
Outline of Annual Research Achievements |
「生態系を基盤とした災害リスクの低減」を実現するグリーンインフラ技術の推進が日本国内で求められている。国外では公有緑地および私有緑地の両方が活用されているが,日本では私有緑地があまり活用されていない。日本において,私有緑地および新たな概念「非公式緑地」でのグリーンインフラ施設は,災害リスクの低減だけでなく,レクリエーションの観点から市民のwellbeingを高めるグリーンインフラ施設が提案できる可能性を申請者はこれまでに明らかにした。 本研究では,社会科学の視点による私有緑地と非公式緑地におけるグリーンインフラの整備方針のあり方を明らかにする。 日本は,公有緑地については政府の予算などで対応が進んでいるが,私有地に存在する緑地についての対策があまり進んでいない。また,個人が所有する私有緑地だけでなく,非公式緑地は特に未だ注目が少ない状況である。非公式緑地とは,居住者が農業や園芸などで管理している道ばた,河川の横の空き地などの使用されていない空地のことを指す用語である。私有緑地や非公式緑地は市民のガーデニングや保全活動によって積極的な管理が行われており,グリーンインフラ技術が未だ活用しきれていない私有緑地と非公式緑地に着目することは日本のグリーンインフラ施設の整備につながると考えた。 本研究では,私有緑地と非公式緑地におけるグリーンインフラ施設の整備方針のあり方を明らかにするために,次の3点について研究を行う。本研究はグリーンインフラ技術の中でも雨水管理を対象にして研究を進める。本研究が完了した後に研究の国際展開を目指している。1)私有緑地と非公式緑地におけるレクリエーション利用および雨水浸透に対する市民の認識,2)グリーンインフラ施設としての私有緑地と非公式緑地の活用状況の変遷,3)私有緑地と非公式緑地の維持管理に費やす時間と整備効果の3点を明らかにする
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず,研究協力者の江暁観との共同研究から紹介する。雨水活用は長い歴史を持ち,様々な国や地域で貯水や節水の手法として発展してきた。2014年に行われた「水利用に関する世論調査」(内閣総理大臣官房政府広報室,2014)では,雨水・再生水の利用についての質問に対し,約9割の回答者は積極的に雨水を使いたいと回答した。このように,日本における雨水活用は,国による市民の参加促進体制が整えられてきただけでなく,市民側の雨水活用に対する意識も醸成されてきている。本研究では,市民による雨水活用を目指す参加活動を雨水活動と定義し,雨水活用に対する市民の意識の実態を明らかにすることにした。調査は,インターネット上でアンケート調査を2017年8月に実施し,全国8地方47都府県の合計1,800名の市民を対象として実施し,私有緑地における雨水浸透に対する市民の認識を明らかにした。 次に,研究協力者のMinseo Kimとの共同研究を紹介する。市川市を対象に,私有緑地と非公式緑地の維持管理に費やす時間と整備効果を調査した。まず,グリーンインフラに関連したアンケートを作成するために予備調査を実施した。予備調査は大学生に対して, 3段階の調査で明らかにした。第一段階で20名を対象に,身の回りの緑地に対する意識調査を実施した。第二段階で,「身の回りの緑地」に対する意識と回答者の持っている自然観の比較を74名に調査した。第三段階で,「身の回りの緑地」が持っている都市緑地としての可能性をワークショップ形式(n=70名)で意見交換して貰い,調査のキーワードを収集した。これら予備調査からアンケートを作成して,市川市民を対象に回答を得た。また,団地居住者の意識も知るために,松戸市の常盤平市民を対象に回答を得た。これら調査から,非公式緑地におけるレクリエーション利用に対する市民の認識を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
調査の結果を,学会誌や国際会議で発表する。今年度も,追加のフィールド調査と,アンケート調査を1,000名から2,000名程度実施する予定である。また,インタビュー調査等も実施する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は2点の理由で発生した。1点目は投稿論文の掲載料として用意していた金額が,採用の関係で次年度使用することになったためである。2点目はアメリカで開催された国際会議American Association of Geographers Annual Meeting 2018, New Orleansに参加して発表したが旅費の支払いが4月になったため,使用額が次年度支払いとなった。したがって,研究費は適正に使用されている。
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Research Products
(7 results)