2017 Fiscal Year Research-status Report
高効率な復帰変異株獲得による膜蛋白質とリガンドの相互作用解析法確立と創薬への応用
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17K08274
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
篠原 康雄 徳島大学, 先端酵素学研究所(プロテオ), 教授 (60226157)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ボンクレキン酸 / ADP/ATP輸送体 / 復帰変異株 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、我々が最近が確立した、error prone PCRと酵母のgap repair cloningを併用した高効率な復帰変異株獲得法を用いて、ADP/ATP輸送体がその特異的阻害剤であるボンクレキン酸とどのように相互作用しているのかを解き明かすことを目的としている。初年度は、まず実験系の確立をめざした実験を遂行した。 ボンクレキン酸がミトコンドリアのADP/ATP輸送体の阻害活性を示すためには、反応液のpHをやや酸性側に設定する必要がある。これは①ボンクレキン酸の作用部位がミトコンドリアのマトリックス側に位置していること、②ボンクレキン酸が3価の負荷電を有しているために、中性のpHではミトコンドリア膜を透過することができず、若干酸性側で有効であるためである。このため、ボンクレキン酸耐性株の獲得に際して、まずやや酸性側(~pH6.5)の寒天培地を調製する必要があった。pH6.5の寒天培地はオートクレーブした後、固まらないというハプニングもあったが、このトラブルを無事克服し、やや酸性の寒天培地を調製することができた。次の課題として、スクリーニングに際して用いるボンクレキン酸の濃度設定があった。すなわち、ADP/ATP輸送体が、変異によってどのくらいのボンクレキン酸耐性を獲得するのかという問題である。この問題を克服するために、野生型のADP/ATP輸送体を発現した酵母(wt)と、すでにボンクレキン酸耐性をもたらすと報告されている点変異体を発現させた酵母を用いて、塗布するボンクレキン酸濃度と培養時間の検討を進めた。その結果、2μMのボンクレキン酸を塗布した培地で48時間培養することで、ボンクレキン酸体性をもたらす点変異を的確にとらえることができることを明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ボンクレキン酸耐性を獲得した酵母株のスクリーニングを効率よく行う実験系をうまく確立することができたため、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ボンクレキン酸耐性株を識別するスクリーニング系はうまく確立できたため、error prone PCRとgap repair cloningを併用し、ADP/ATP輸送体の変異株を発現させ、復帰変異株獲得をめざす。 なお、アミノ酸の置換の様式によって、ボンクレキン酸への抵抗性の程度が違ってくる可能性があると考えられるが、さしあたりは29年度に特定された2μMの条件で検討し、必要に応じて濃度を変化させた実験も行う。
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Causes of Carryover |
初年度は条件検討が多かったため、さほど高額な経費を必要としなかった。 一方で、次年度にはスクリーニングが動き出すために、多額の消耗品費が必要になることに加え、類似した研究課題を進めているフランス、スロバキアのグループとの意見交換を行うために国際学会に出席することを考え、次年度に必要になるこれらの経費を確保することに務めた。
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Research Products
(4 results)