2018 Fiscal Year Research-status Report
高効率な復帰変異株獲得による膜蛋白質とリガンドの相互作用解析法確立と創薬への応用
Project/Area Number |
17K08274
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
篠原 康雄 徳島大学, 先端酵素学研究所(プロテオ), 教授 (60226157)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ボンクレキン酸 / ADP/ATP輸送体 / 復帰変異株 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではミトコンドリアのADP/ATP輸送体に注目し、その特異的阻害剤の1つであるボンクレキン酸との相互作用の様式を明らかにするために、ボンクレキン酸と相互作用しているアミノ酸残基の同定を目的とした研究を行う。この研究を推進するために、申請者らが最近確立したerror prone PCRと酵母のgap repair cloningの2つの技術を併用した高効率な機能復帰変異株の獲得技術を用いて、ランダムにアミノ酸変異を導入したADP/ATP輸送体のライブラリーの中から、ボンクレキン酸存在下でもヌクレオチド輸送活性を示す復帰変異株の取得を進めることを計画している。初年度の実験で、復帰変異株のスクリーニングに至適な実験条件を特定することができたので、H30年度には実際にボンクレキン酸存在下で生育できる復帰変異株の獲得を進めた。 Zemanらによる先行研究によって、G30S、Y97C、L142S、G298Sの4つの点変異がボンクレキン酸耐性をもたらすことが報告されていたが、我々の研究で、L142SとG298Sの2つの変異を再現することができた。更に、I200V、S245P、V301Iという3つの新たな変異を特定することに成功した。また、これらのいずれの点変異を導入したADP/ATP輸送体も、野生型の輸送体が機能できなくなる0.2μMのボンクレキン酸存在下でもヌクレオチド輸送活性を示すことができることが明らかになり、これらのアミノ酸残基が実際にボンクレキン酸と相互作用していることを明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
すでに報告のあった4つの変異のうち、2つの変異(L142SとG298S)を再現できたのは驚きであった。とりわけ、変異する先のアミノ酸、すなわちこの2つの変異についてはSerが全くぶれることなく再現できたことは、他のアミノ酸への置換では耐性の獲得につながらないことを意味している。 更に、新たに3つの点変異(I200V、S245P、V301I)を特定できたこと、またこれらのアミノ酸の点変異が実際にボンクレキン酸耐性をもたらすことを検証できたことは特筆に値する進捗である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、ADP/ATP輸送体の7つのアミノ酸残基がボンクレキン酸と相互作用していることが明らかになった。ボンクレキン酸のADP/ATP輸送体との解離定数は10-8M程度であることが知られいるため、まだ未同定のアミノ酸残基がボンクレキン酸と相互作用している可能性が考えられるので、引き続きこれらの探索研究を進める。 また、同定されたアミノ酸残基がボンクレキン酸との相互作用にどの程度寄与しているのかを明らかにするための実験にも着手したい。
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Causes of Carryover |
現有の消耗品を用いて実験を推進できたため、消耗品経費が予定より少なかった。引き続いた実験の遂行に必要な消耗品の購入、また研究をさらに発展させるため、情報収集の出張などに経費を充当する予定である。
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Research Products
(7 results)