2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel anti-myeloma agent posseing bone repairing effect
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17K08365
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中山 淳 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学系), 助教 (60743408)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マクロライド / 多発性骨髄腫 / 全合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
【概要】 超高齢社会を迎えた日本にとって、加齢により罹患リスクの高まる疾患の克服は急務の課題であると言える。中でも多発性骨髄腫は、難治性疾患として知られており、骨破壊性病辺を呈することから患者のQOLを著しく低下させてしまうことも大きな問題となっている。さらに、多発性骨髄腫は耐性を獲得しやすいことから、新たな治療薬の開発が望まれている。このような背景の下、申請者は一貫して天然マクロライドLL-Z1640-2を基盤とした医薬化学研究を展開しており、新規多発性骨髄腫治療薬の創製研究を行なっている。これまでにLL-Z1640-2の不斉全合成経路の確立にも成功している。 【結果】 平成29年度は、LL-Z1640-2のより効率的な不斉全合成経路の確立を目指し、第二世代全合成経路の開発研究を行なった。本合成経路では、カップリングパートナーを一新する事で、工程数を約2/3へと減らすことに成功し、より効率的にLL-Z1640-2の供給が可能となった。さらに、本経路は網羅的な化合物合成を指向しており、これまでに天然マクロライドとして知られるLL-Z1640-1、LL-Z1640-2、5E-7-oxozeaenol、L-783277の四種と、それぞれに対応する二重結合異性体の四種の不斉全合成を達成しており、有望な化合物ライブラリーの構築に成功した。また、LL-Z1640-2の構造簡略化体が多発性骨髄腫細胞に対してin vitro、in vivoにおいて強力な活性を維持することを明らかとしていたが、その部分構造を14員環マクロライドに組み込んだ新規誘導体が、親化合物であるLL-Z1640-2を凌駕する腫瘍増殖抑制活性を示すことに加えて、興味深い生物活性をも有することを新たに見出している。これらの関連成果について平成29年度中には査読付論文2報、国内学会発表9回、国際学会発表2回を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LL-Z1640-2の効率的全合成経路を確立し、天然マクロライドのみならず新規誘導体を計8種合成することに成功している。さらに、LL-Z1640-2の構造簡略化体から得られていた細胞実験ならびに動物実験の結果から、重要な官能基をマクロライド構造に組み入れた新規誘導体が強力な細胞障害活性だけでなく、親化合物であるLL-Z1640-2や構造簡略化体には見られなかった興味深い生物活性を有していることを見出すことができた。これらの結果から、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、研究計画を前倒しし、強力な生物活性を有する構造簡略化体に関する作用機序解明研究を行う予定である。本化合物と新規マクロライド誘導体は様々な共通点があることから、構造簡略化体の作用機序を解明することでマクロライド誘導体についても大きな知見を得られる考えている。具体的には、構造簡略化体の末端アルケン部分をアルキンへと変換してタグを導入する。これを多発性骨髄腫の細胞破砕液と混合した後に、蛍光分子を導入したリンカーとclick反応を用いて連結を行う。これまでの知見から、構造簡略化体は標的分子と共有結合を形成することで生物活性を発現していると考えられる。これを利用し、薬剤処理細胞溶液をタンパク精製した後、電気泳動と蛍光観察を行い、傾向が観察されたバンドを切り出しプロテオミクス解析を行うことで、標的分子を絞り込む。候補タンパクに関しては、siRNAなどを用いた生物実験によって実際の関与について検討を行う。
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Causes of Carryover |
平成29年度は研究の進捗状況が良好であり、検討に必要とされる有機合成試薬等の支出が想定以上に抑えられていた。平成30年度はこれまでに得られた知見を利用し、動物実験を相当数行う必要があり、それに伴い誘導体の供給量が格段に増加すると予想されるため、有機合成用試薬および溶剤等の購入、およびプロテオミクス解析などの高額分析装置利用費に次年度使用額を平成30年度請求分と合わせて使用させていただきたいと考えている。
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Research Products
(14 results)