2017 Fiscal Year Research-status Report
Research to investigate the mechanism of urinary excretion of illegal drugs including synthetic cannabinoids and their metabolites
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17K08417
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
北市 清幸 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (40301220)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 危険ドラッグ / 合成カンナビノイド / 検出技術 / 尿中排泄挙動 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の計画に基づき、複数の合成カンナビノイド(合成CB)における尿中及び血中代謝産物濃度の経時的含量変化を確認し、主要代謝経路の差異を包括的かつ迅速に解析するための技術基盤の確立を試みた。すなわち、合成CBの多様性に富んだフラグメントを多数合成することにより、フラグメント化合物ライブラリーを構築、それら化合物をLC-MS/MSなどによる精密質量分析に附し、構造同定のためのデータを取得した。特に、フラグメント合成に関しては、最近の合成CBの流通状況を鑑み、代謝経路と体内動態が不明なcarboxamide構造を有する化合物の合成を行い、これに成功した。 また、次年度以降の実験動物を用いた血液サンプル、尿サンプルの測定に向けた高価あるいは購入しにくい合成CBの大量合成、それらの位置異性体識別を行うための基礎技術の確立[前年度の5F-PB-22(Forensic Toxicology 35 56-65, 2016)に引き続いたFUB-JWH-018での研究(Forensic Chemistry 6,28-35, 2017)]、肝ミクロソームを用いた5F-CUMYL-PINACA、FUB-JWH-018、5F-PY-PINACAなどの代謝物の推定にも成功した(The 15th ICTDMCT、京都、2017/9/24-27などで発表)。また、合成CBの代謝挙動の評価に向けた実験動物を用いた血液サンプル、尿サンプルの採取手法を概ね確立。前述の大量合成した合成CBを用いた薬物動態学的検討のパイロットスタディにも着手することができた。 特に初年度申請したPDA検出器等を組み合わせた合成CB代謝物の解析技術は次年度以降の動物実験における解析に貢献することが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のとおり、本年度目的としていた①複数の合成カンナビノイド(合成CB)のフラグメントとフラグメント化合物ライブラリーの構築、②構造同定のためのデータ取得、③高価あるいは購入しにくい合成CBの大量合成、④それらの位置異性体識別を行うための基礎技術の確立、⑤肝ミクロソームを用いた代謝物の推定、⑥薬物動態学的検討のためのパイロットスタディのすべてに着手することが出来た。 その成果ついては、①2報の論文発表(さらに1報がsubmit中)、②1報の総説、③1回の国際学会発表、④8回の国内学会/研究会発表として社会に発出することが出来た。 また、我々の特徴的な取り組みである岐阜薬科大学、岐阜県保健環境研究所、岐阜県科学捜査研究所、岐阜県薬務水道課が連携して、違法薬物の蔓延抑止に取り組む『岐阜危険ドラッグ解析技術連携協議会』でもその成果を発表することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は当初の計画に従い、新規な合成CBを用いた本格的な薬物動態実験を開始する。すなわち、新規な合成CBを動物に投与し、血液サンプルや尿サンプルを採取し、Met ID Solution による構造同定、フラグメント化合物ライブラリーの評価で得られた構造同定情報より、代謝物を特定し、新規合成CBの主要な代謝経路を特定すると共に、特に、尿中に排泄されやすい代謝物の特定を行う。 また、この段階で、その構造より、既知の腎排泄に寄与するトランスポーターの関与が考えられる場合は、トランスポーター基質による競合阻害実験を行い、合成CB代謝物の尿中排泄に寄与するトランスポーター群の推定を行う。なお、既知のトランスポーターのうち、候補となりうるものは、グルクロン酸抱合体に対する輸送活性を持つOAT3、MRP2を想定している。 さらに、完全なトランスポーターの特定のために、合成CB代謝物を合成、培養細胞に候補トランスポーターを導入した細胞を作成し、in vitroにおける合成CB代謝物の細胞への取り込みまたは排泄挙動を確認する。この年度では、候補トランスポーターを導入した細胞の作成に特に力を注ぐこととする。なお、合成CBのフラグメント化合物ライブラリーにおける構造同定情報の収集も引き続き行っていく。
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Research Products
(17 results)