2018 Fiscal Year Research-status Report
Physiological role of Na-dependent dicarboxylate transporters in central nervous system
Project/Area Number |
17K08430
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
藤田 卓也 立命館大学, 薬学部, 教授 (00247785)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | クエン酸 / TCA回路中間体 / Na+共役クエン酸トランスポーター / CREB |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス大脳皮質神経細胞におけるNaCT mRNA発現は RT-PCR により確認され、[14C]クエン酸を用いた輸送検討からもその輸送特性はNaCTを介して行われていることを確認した。本研究では Proteinkinase C (PKC) 活性化剤として PMA を用いて実験を行ったが、PMA により Na+ 依存的なクエン酸輸送は濃度依存的及び処理時間依存的に有意に低下することが分かった。速度論的な解析により、この輸送活性の低下はクエン酸に対する親和性(Km)の変動によるものではなく、最大輸送能(Vmax)の低下に起因することが明らかとなった。また、このPMA によるクエン酸輸送の低下は、PKC 阻害剤である Go6983 により回復した。以上の結果により、マウス大脳皮質神経細胞に発現している NaCT の輸送活性は PKC により制御されていることが示された。 さらにマウス大脳皮質神経細胞の Proteinkinase A (PKA) によるNaCTを介したクエン酸輸送の影響について検討を行った。PKA 活性化剤である DBcAMP で3時間処理を行った結果、[14C]クエン酸の取り込み量に有意な差は見られなかった。さらに、種々の PKA 活性化剤 (アデニル酸シクラーゼ活性化剤:forskolin、ホスホジエステラーゼ阻害剤:IBMX、cAMP アナログ:CPTc-AMP)処理のいずれにおいても影響は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PMA によるNaCTを介したクエン酸輸送活性の低下は、速度論的解析によりVmax値の低下によることが明らかとなったが、これは細胞膜上の NaCT タンパク質量の低下に起因するものと考えられる。しかしながら、細胞膜上の NaCT タンパク質量の低下がエンドサイトーシス活性の上昇による可能性、あるいはエキソサイトーシス活性の減少による可能性の双方が考えられる。現状では、PMA によるエンドサイトーシス及びエキソサイトーシスの影響について検討を行っていない。従って、今後の研究課題として、アクチン重合阻害薬や微小管重合阻害薬等を用いることで、PMA 処理条件下で輸送活性にどのような影響をもたらすか、さらなる検討を進める必要がある。 PKC を介した活性調節のみならず、PKAを介した輸送活性調節および発現変動に関しても検討を進める予定であったが、この検討項目に関しては予備検討にとどまっており、次年度に重点的に検討すべき項目である。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の点に関して研究を進める。 1) 細胞内 cAMP の上昇に伴う、PKA の活性化を介した NaCT の輸送活性調節に関して検討を進める。細胞刺激方法としては、基本的にはGs共役型受容体のリガンド刺激およびcAMP誘導体刺激により行う。 2) 細胞内 cAMP の上昇により cAMP responsible element binding protein (CREB)などの転写調節因子を介したNaCTの転写・発現調節機構に関しても検討を進める。すでにCREBおよびdominant-negative CREB cDNA を用いた一過性発現系を構築しており、この系を用いて上記検討を進める。 3) アクチン重合阻害薬や微小管重合阻害薬等を用いることで、PMA 処理条件下で輸送活性にどのような影響をもたらすか検討を進める 4) 2017-2019年度の研究総括として、これまでの研究成果(2報分)を専門誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
細胞培養として支出する予定であった物品費残額が400円となり、必要な消耗品を購入する費用としては不足していたため、次年度助成金と併せて細胞培養のための物品費として使用する。
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Research Products
(9 results)