2019 Fiscal Year Annual Research Report
Possible involvement of Schwann cell in the development of chemotherapy-induced peripheral neuropathy and search for new therapies by drug-repositioning
Project/Area Number |
17K08445
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今井 哲司 京都大学, 医学研究科, 講師 (80468579)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 抗がん剤誘発末梢神経障害 / シュワン細胞 / タキサン系抗がん剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、(1)CIPNバイオマーカーの探索、(2)CIPN発症機構の解明、(3)CIPN予防/治療薬の探索を目標とし、検討を行っている。(1)、(2)タキサン系抗がん剤であるパクリタキセルの投与後に脱分化シュワン細胞から血中に分泌されるgelectin-3(Gal-3)が末梢神経へのマクロファージの誘因を惹起し、これがパクリタキセル誘発CIPNの発症の一因となっている可能性を明らかにした。さらに、京都大学医学部附属病院でタキサン系抗がん剤の投与を受ける乳がん患者8名の血漿検体中のGal-3濃度をELISA法により測定を行った。その結果、マウスでの検討結果と同様に、患者においてもCIPNの症状がない時に比べCIPNの発症時の血中Gal-3濃度が有意に増加していることが明らかになった。Galectin-3 inhibitor(galectin-3の受容体への結合阻害薬)であるTD-139をパクリタキセル投与後のマウスに投与し、マクロファージの誘引および痛覚過敏反応が抑制されるかについて、血漿サンプルを用いたELISA法、坐骨神経標本を用いた免疫染色法およびvon Freyテストにより検討を行った。その結果、TD-139はパクリタキセルによる血漿中galectin-3濃度の上昇を抑制しなかったが、マクロファージ浸潤および痛覚過敏反応を抑制した。この結果より、パクリタキセルによるCIPNの発現には、Gal-3依存的な末梢神経へのマクロファージの浸潤が必須であることを証明できた。(3)既承認医薬品スクリーニングにより同定した、パクリタキセル誘発CIPNの新規治療薬候補(シロスタゾール)について、CIPNモデルマウスの坐骨神経においてシュワン細胞の脱分化を抑制し、痛覚過敏反応を抑制することを明らかにした。
|
Research Products
(6 results)