2017 Fiscal Year Research-status Report
ランゲルハンス細胞とマスト細胞を同時標的にした抗アレルギー薬の新評価
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17K08469
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
松井 勝彦 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (20257140)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / ランゲルハンス細胞 / マスト細胞 / 抗アレルギー薬 / Th1細胞 / Th2細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ランゲルハンス細胞 (LCs) およびマスト細胞(MCs)の抗原提示能を同時に制御することで、抗原特異的Th2細胞分化を阻害する薬物を既存の抗アレルギー薬の中から見出し、根治を目指した新たなアレルギー治療戦略に結びつく情報を臨床サイドに提供するものである。 最初に第1世代H1受容体拮抗薬(抗ヒスタミン薬)(4薬物)、メディエーター遊離抑制薬(4薬物)、第2世代H1受容体拮抗薬(10薬物)、トロンボキサンA2合成阻害薬(1薬物)、トロンボキサンA2受容体拮抗薬(1薬物)、ロイコトリエン受容体拮抗薬(3薬物)、Th2サイトカイン阻害薬(1薬物)をLCsに直接作用させ、Th2細胞分化阻害能の指標としてLCsに対するTIM-4発現阻害能を調べた。その結果、第1世代H1受容体拮抗薬であるシプロヘプタジンおよびプロメタジンがLCsのTIM-4発現を阻害することがわかった。また、第2世代H1受容体拮抗薬のエメダスチンおよびロラタジンも同様の阻害活性を示した。 次にTIM-4発現阻害薬として選択された上記4薬物で処理したLCsのTh1/Th2細胞分化誘導能を調べた結果、エメダスチンとロラタジンの2薬物がTh2細胞分化阻害能に加えてTh1細胞分化阻害能も有することを確認した。アレルギー性炎症の急性期に加えて慢性期も同時に制御していくためには、Th1細胞分化とTh2細胞分化の両方を同時に制御できる薬物を選択することが望ましい。 そこで、エメダスチンとロラタジンを用いて、マスト細胞 (MCs) を介するTh1/Th2細胞分化に対する影響を調べたところ、LCsを介するそれと同様に両薬物はTh1細胞分化に加えてTh2細胞分化も同時に阻害することが明らかとなった。 以上の結果は、既存の抗アレルギー薬の中からエメダスチンとロラタジンがLCsとMCsを同時標的にしてTh1/Th2細胞分化を阻害できることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試験予定の抗アレルギー薬(24原末)をランゲルハンス細胞 (LCs) に作用させ、Th1/Th2細胞分化を阻害する2薬物を見出した。さらに、それらの薬物がマスト細胞を介するTh1/Th2細胞分化も同時に阻害することを確認した。 このように全てのスクリーニングを当初の予定通りに終了したことから、本研究はおおむね順調に進展しているものと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
候補薬物として選択された抗アレルギー薬によるTh1/Th2細胞分化阻害の機構を解明することを目的として、ランゲルハンス細胞およびマスト細胞の細胞表層分子 (CD40、B7分子 [CD80, CD86]、Notchリガンド [Jagged 1, Jagged 2, Delta 1, Delta 3, Delta 4]、TIM-4、OX40L) および産生サイトカイン (IL-10, IL-12 p40, IL-12 p70) に焦点を当てて研究を進める予定である。 また、候補薬物によるTh1/Th2細胞分化阻害の機構が解明できたら、アトピー性皮膚炎治療における候補薬物の治療効果 をモデルマウス (NC/Nga) を用いて検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
理由:研究室の残予算を優先的に使用したため、助成金に次年度使用額が生じた。
使用計画:次年度使用額は、次年度の助成金と併せて物品購入費および旅費に充てる予定である。
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Research Products
(8 results)