2018 Fiscal Year Research-status Report
ランゲルハンス細胞とマスト細胞を同時標的にした抗アレルギー薬の新評価
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17K08469
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
松井 勝彦 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (20257140)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / ランゲルハンス細胞 / マスト細胞 / 抗アレルギー薬 / Th1細胞 / Th2細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ランゲルハンス細胞(LCs)およびマスト細胞(MCs)の抗原提示能を同時に制御することで、抗原特異的Th1/Th2細胞分化を阻害する薬物を既存の抗アレルギー薬の中から見出し、各種アレルギー疾患の根治を目指した新たなアレルギー治療戦略に結びつく情報を臨床サイドに提供するものである。 2018年度(平成30年度)は、Th1/Th2細胞分化阻害の候補薬物として選択された抗アレルギー薬のエメダスチンがどのような機序でLCsおよびMCsを介したTh1/Th2細胞分化を阻害するのかを明らかにするために、抗原提示細胞の細胞表層分子(CD40、B7分子 [CD80, CD86]、Notchリガンド [Jagged 1, Jagged 2, Delta 1, Delta 3, Delta 4]、TIM-4、OX40L)および産生サイトカイン(IL-10, IL-12 p40, IL-12 p70)に焦点を当てて調べた。その結果、エメダスチンのLCsを介したTh2細胞分化阻害は、LCsのTIM-4発現の抑制、またTh1細胞分化阻害は、LCsのCD40発現の抑制とそれに続くIL-12 p70産生の抑制に基づくことがわかった。さらに、エメダスチンのMCsを介したTh1/Th2細胞分化阻害は、MCsのCD86発現の抑制に基づくことがわかった。 一方、2017年度(平成29年度)に見出したLCsおよびMCsを介したロラタジンのTh1/Th2細胞分化抑制には、分化初期段階におけるロラタジンのナイーブT細胞への細胞毒性が関与していることが明らかとなった。また、NC/Ngaマウスを用いたアトピー性皮膚炎の治療実験においてもロラタジンの外用は皮膚炎症状をむしろ悪化せる傾向を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抗アレルギー薬のエメダスチンおよびロラタジンのLCsおよびMCsを介したTh1/Th2細胞分化阻害のメカニズムが明らかになった。また、ロラタジンに関しては、NC/Ngaマウスを用いたアトピー性皮膚炎の治療実験と効果判定も終了した。 このように当初予定していた候補薬物のTh1/Th2細胞分化阻害メカニズムの解析とアトピー性皮膚炎への治療効果の判定の一部が完了したことから、本研究は概ね順調に進行しているものと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
残された候補薬物であるエメダスチンのアトピー性皮膚炎への治療効果をNC/Ngaマウスを用いて検討していく予定である。一定の治療効果が得られた場合には、その効果がin vivoにおけるTh1/Th2細胞分化阻害やIgE産生の低下に基づくものなのか否かについても明らかにしていく予定である。
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Remarks |
研究課題の欄に「最近のトピックス」を記載した。
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Research Products
(7 results)