2017 Fiscal Year Research-status Report
神経系の細胞分化・増殖に細胞外マトリックスが及ぼす影響の検討
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17K08526
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
八木 秀司 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10303372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湊 雄介 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (00710245)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 細胞・組織 / 細胞外マトリックス |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞外マトリックスと細胞動態をつなぐ細胞内シグナルカスケードの解析を行った。FILIPによる細胞内でのfilamin Aの減少は以前に報告されていたが、その減少に関わる細胞内シグナル伝達系として細胞外マトリックスからのシグナル伝達に関わる低分子量Gタンパク質が関与しているか阻害剤を用いて検討した。その結果、RacIの阻害剤によりFILIPの影響によるfilamin Aの減少が低下する可能性を見いだした。一方、細胞外マトリックスと結合するインテグリン等の細胞内ドメインと結合する別の細胞骨格調節分子の動向にFILIPの発現により影響がもたらされる可能性を見いだした。この分子の動態は細胞外マトリックスにより影響を受ける可能性があることが判明している。FILIPがこの細胞骨格調節分子に直接に影響を与えるかを確認するため、免疫沈降法で検討したところ、この2分子は結合している可能性があることを見いだした。以上の結果より、FILIPが細胞接着分子に影響を及ぼすカスケードの新たな一面を明らかに出来たと考えている。 虚血周皮細胞の細胞外マトリックスとの関係では、虚血周皮細胞を異なる細胞外マトリックス上で培養し、幹細胞マーカーの発現の違いを検討した。あるマトリックスでは継代により1つの幹細胞マーカーの発現が減少したが、他のマトリックスではその幹細胞マーカーの発現は維持された。また、別のマトリックスでは継代とは関係なく、その幹細胞マーカーの発現は抑制された。さらに、幹細胞マーカーの発現が抑制される細胞外マトリックスの上で培養した虚血周皮細胞を幹細胞マーカーが維持される細胞外マトリックス上で培養すると幹細胞マーカーの発現が誘導された。以上の結果より、細胞外マトリックスが細胞の性質に関わる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞外マトリックスと細胞動態をつなぐ細胞内シグナルカスケードの解析においては、低分子量Gタンパク質の活性化の検討に関して少し遅れている。とくに、低分子量Gタンパク質の活性化により影響を受ける非筋肉型ミオシンに関しては細胞外マトリックスの違いによる影響はあまり認められず、今後の方針について検討を行っている。脳虚血時の血管周皮細胞の検討では、神経幹細胞マーカーの検討は出来ているが、細胞内のシグナルカスケードに対して十分な検討が行えていない。この理由としては、兵庫医科大学の動物実験施設の移転に伴う動物実験の停止期間が予想以上に長期に渡ったため、細胞の取得に影響が及んだためである。
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Strategy for Future Research Activity |
兵庫医科大学の動物実験施設の停止は解除されたので、今後、動物実験に係る研究が再開できる体制となった。そこで、平成29年度に予定されていた血管周皮細胞での検討を継続して行う。また、細胞外マトリックスと細胞動態をつなぐ細胞内シグナルカスケードの検討では、新たに見いだした細胞骨格の調節分子の動態について検討を追加し、継続して研究を行っていく予定である。また、FILIPが非筋肉型ミオシンに与える影響に関しては、細胞外マトリックスによる違いを見いだせていないため、非筋肉型ミオシンの細胞内の詳細な分布等を含めて検討する予定である。
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Causes of Carryover |
平成29年度は、兵庫医科大学の教育研究棟新設に伴い、研究室の引越、また、動物実験施設の長期にわたる閉鎖等が生じたため、安定した研究活動に支障を来たした時期が生じた。そのため、一部研究に関して遂行困難となり、研究費の使用が見込みと異なった。現在は、その状態は改善されており、今後、遅れていた部分も含めて遂行していく予定である。
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