2018 Fiscal Year Research-status Report
神経系の細胞分化・増殖に細胞外マトリックスが及ぼす影響の検討
Project/Area Number |
17K08526
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
八木 秀司 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10303372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湊 雄介 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (00710245)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 細胞外マトリックス / 細胞・組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞外マトリックスとFILIP分子との関係において、平成29年度に明らかにしたインテグリンと結合する分子、パキシリンに及ぼす影響に関して検討を行った。FILIP分子発現によるパキシリン分子の量の低下は、細胞外マトリックスの影響を受けることが判明した。さらには、低分子量G蛋白質が活性化した場合にシグナル伝達経路の存在するリン酸化酵素の1つであるROCKの阻害剤を作用させることで、FILIP分子発現により低下するパキシリンの量が通常の量のまま維持される可能性を見いだした。別の低分子量G蛋白質であるRac1の阻害剤を用いた場合には、FILIPがパキシリンに及ぼす影響に作用を及ぼすことは認めなかった。細胞外マトリックスにより活性化される低分子量G蛋白質が異なることから、本結果は、細胞外マトリックスの違いにより細胞移動等の調節に関わる細胞骨格や細胞接着の制御が行われている可能性を示す結果であると考えられた。 FILIPが発現していない海馬とFILIPが発現している梨状葉の初代培養神経細胞に関して、パキシリンの細胞内分布、細胞内の量に差が生じるか免疫染色で検討した。その結果、FILIPが発現している梨状葉の神経細胞でFILIPが発現していない海馬の神経細胞に比較してパキシリンの発現量が低下している可能性を見いだした。 虚血周皮細胞と細胞外マトリックスの関係では、細胞接着に関わるインテグリンの発現を確認した。細胞外マトリックスの違いにより発現するインテグリンの種類が異なる可能性を見いだしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年4月より本格運用が始まった教育研究棟に研究室、共同利用研究施設、動物実験施設が移動し、動物実験施設等の使用は4月より出来る状態となっていた。しかしながら、実際の運用において実験の立ち上げに時間がかかった。このため、やや遅れが認められる。また、非筋肉型ミオシンではなく、細胞外マトリックスからの細胞内シグナルカスケードに関わるパキシリン分子が重要であることを見いだしたので、パキシリンを介して細胞外マトリックスが及ぼす影響を明らかにすることに集中している。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞外マトリックスにより、FILIPの影響が異なる可能性が高いことを見いだしたので、神経幹細胞を含め、神経系の細胞で、細胞外マトリックスが及ぼす影響についてパキシリンを中心に検討する。これに関しては、組織内の細胞外マトリックスの変化と神経細胞の関係を明らかにすることを試みる。 虚血血管周皮細胞において、細胞外マトリックスの違いにより、細胞の分化状態が変化するかを検討する。細胞外マトリックスによりインテグリンの違いを認めており、分化状態とともにインテグリンの違いに関しても検討を行う。
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Causes of Carryover |
平成30年4月より本格運用が始まった教育研究棟に研究室、また、共同利用研究施設、動物実験施設が移動し、動物実験施設等の使用は4月より出来る状態となっていたが、実際の運用のルール変更等に伴い実験の立ち上げに時間がかかった。そのため、動物実験にかかる部分の経費の使用が少なかったため。今後の研究に必要な消耗品等の購入にあてる予定としている。
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Research Products
(1 results)