2019 Fiscal Year Annual Research Report
Role of a functional SNP of the gene coding brain serotonin synthesis rate-limiting enzyme Tph2 in dilated cardiomyopathy
Project/Area Number |
17K08540
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
森本 幸生 国際医療福祉大学, 福岡保健医療学部, 教授 (50202362)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 遺伝性拡張型心筋症 / ノックインマウスモデル / 脳セロトニン機能 / 心臓突然死 / 重症心不全死 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでにヒト拡張型心筋症(DCM)を引き起こす心筋トロポニンT遺伝子突然変異(ΔK210)を導入した2系統の遺伝的背景(BALB/cとC57BL/6)のノックインマウスを作製し、C57BL/6系統は心不全を発症せず不整脈により突然死するが、BALB/c系統は重篤なうっ血性心不全を発症し衰弱死することを明らかにしてきた。心不全患者ではうつ病罹患率が高いことが知られているが、興味深いことに心不全を発症するBALB/cマウスは脳セロトニン合成律速酵素であるトリプトファン水酸化酵素2遺伝子(Tph2)の一塩基多型により脳セロトニンレベルが低下していることが知られている。 本研究では、拡張型心筋症の疾患表現型の違いにおけるTph2多型の役割を明らかにするため、C57BL/6のTph2多型である1473C/C をもつBALB/c背景ΔK210 DCMコンジェニックマウスとBALB/cのTph2多型である 1473G/G をもつC57BL/6背景ΔK210 DCMコンジェニックマウスを作出した。4週齢以降の生命予後、心臓リモデリングおよび肺うっ血の程度を調べた結果、低活性型G/G多型はどちらの系統においても高活性型C/C多型より高度な心臓リモデリングと肺うっ血をもたらし心不全を誘発するのに対して、高活性型C/C多型は明らかな心不全を誘発せず、その代わりに心臓突然死を高い頻度で誘発することが明らかになった。また、どちらの系統においても低活性型多型は高活性型多型に比べて生命予後を有意に延長した。 本年度は個体数を飛躍的に増やすことができたおかげで拡張型心筋症疾患表現型の違いにおけるTph2多型の役割がかなりはっきりとみえてきた。しかしながら、BALB/c系統に高活性型Tph2多型を導入したマウスの解析個体数は依然として6例と極端に少ないため、今後も引き続き本研究を継続し確認する必要がある。
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