2019 Fiscal Year Research-status Report
心臓におけるKCNQ1チャネル修飾サブユニットの機能解明
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17K08552
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
中條 浩一 自治医科大学, 医学部, 教授 (80390699)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | イオンチャネル / KCNQ1チャネル / 心臓 / QT延長症候群 / オプトジェネティクス / ゼブラフィッシュ / HCN4チャネル / 腸管神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
KCNQ1チャネルについては、修飾サブユニット存在時の電位センサーの動きを解析する目的で、蛍光分子Alexa488を電位センサーに導入し、voltage-clamp fluorometry法による蛍光強度変化測定を行った。それにより、ヒトとゼブラフィッシュのKCNE3の機能の違いが、電位センサーの動きの違いに由来するものであるという仮説の検証を行っているところである。特にKCNE3の修飾部位としてS1セグメントの動きに注目しているが、KCNQ1のS1セグメントもS4セグメントと同様に動くことを、voltage-clamp fluorometry法により見出している。HCN4については、HCN4発現細胞にGFP蛍光を発現するトランスジェニックゼブラフィッシュを用い、ゼブラフィッシュの幼魚で見られる腸管の逆蠕動運動に、HCN4発現腸管神経細胞の活動が関与していることを、大阪医科大学、遺伝学研究所との共同研究により明らかにした(Fujii, Nakajo et al. Cell Reports, 2020)。今後はこのトランスゼブラフィッシュを利用し、心臓や神経系など、他のHCN4発現細胞の生理的機能を解明する研究を進める予定である。またKCNQ1チャネルと同様、ゼブラフィッシュのHCN4チャネルの電気生理学的解析あるいはvoltage-clamp fluorometry法を適用する予定で準備を進めている。HCN4チャネルは2種類存在しており、ヒトのHCN4と併せて比較解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究開始2年目に移動し、新たに研究室を立ち上げたこともあり、当初は大幅に研究の進捗が遅れてしまった。異動より2年たち、ゼブラフィッシュの飼育環境をはじめとする研究環境がようやく整いつつあるところである。新しく研究室のメンバー、大学院生も加わり、今後は遅れを取り戻すことが可能であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
まずはKCNQ1とそのサブユニットKCNE3について、電位センサードメインの動きをどのように制御するかについての分子生理学的な解明に注力したい。またHCN4にGFPを発現するゼブラフィッシュを用い、心臓や神経細胞における生理機能の解明を進める。加えて2種類あるゼブラフィッシュHCN4チャネルに対するKCNEタンパク質の相互作用ならびに機能修飾について、電気生理学とvoltage clamp fluorometryを用いた機能解析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
研究期間中に新しく独立して研究室を立ち上げたため、研究計画に遅れが生じていることが主な理由である。2020年度中に新しいトランスジェニックゼブラフィッシュの作成、KCNQ1チャネル、HCN4チャネルの機能解析を遂行するために研究費を使用する予定である。また年度末に予定されている、日本生理学会・日本解剖学会合同大会(名古屋)に参加するための旅費に使用する。さらに論文を出版するための費用として使用する。
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Research Products
(4 results)