2019 Fiscal Year Research-status Report
進行癌におけるArf6経路を介した免疫チェックポイントPD-L1の制御機構の解明
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17K08614
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
橋本 あり 北海道大学, 医学研究院, 助教 (60390803)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Arf6 / PD-L1 / 免疫チェクポイント / 免疫回避 / 癌免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫回避に重要な役割を担う免疫チェックポイント分子PD-L1のエピジェネティック因子による発現制御や細胞内動態の分子機序は未だ不明な点が多い。低分子量G蛋白質Arf6を基軸としたシグナル経路(Arf6経路)は乳癌、腎癌及び膵癌等の浸潤・転移等に重要な役割を担っており、転移性乳癌細胞ではp53変異による細胞内メバロン酸代謝経路の亢進がArf6経路の活性化に関わる。これまでの研究期間において、Arf6経路が間葉形質を獲得した膵癌の免疫回避に関与すること、その分子機序として、Arf6経路がPD-L1の細胞表面へのリサイクリングの亢進に関与することを見出した。また、epigenetic制御因子EZH2によるPD-L1の発現制御に関わる候補分子の同定を進めた。 2019年度において、間葉型膵癌において高発現するArf6経路因子の制御機構に関して解析を行った。その結果、膵癌のドライバー遺伝子KRAS変異とTP53変異が協調してArf6及びエフェクター分子AMAP1の遺伝子発現を翻訳過程で亢進させ、TP53変異によるメバロン酸代謝経路の亢進によりArf6-AMAP1経路が活性化すること、そのことがPD-L1のリサイクリングを駆動していることを明らかにした。病理学的解析から、Arf6経路因子群の高発現が膵癌悪性予後因子となることを示した。続いて、Arf6-AMAP1経路による免疫回避の分子機序について解析を進め、免疫組織学的解析からAMAP1が腫瘍組織に浸潤する免疫細胞の割合を変動させること、また、RNA-seq.解析からAMAP1が膵癌細胞による液性因子の発現を変動させることを見出した。その制御機構について解析した結果、AMAP1が特定の分子を介して液性因子の発現制御に関わり、そのことにより腫瘍組織に浸潤する免疫細胞の構成が変動し、免疫回避に関与している可能性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
間葉形質シグナルArf6-AMAP1経路を介したPD-L1動態に関し、膵癌のドライバー遺伝子KRAS変異とTP53変異が協調して関与していることを明らかにしたことは当初計画していた研究の1つである。さらに、当初計画からの新たな展開としてArf6-AMAP1経路と免疫回避の分子機序について解析を進め、当該経路が腫瘍組織に浸潤する免疫細胞の割合を変動させること、また、液性因子の発現変動にも関与していることを見出したことは、Arf6-AMAP1経路による免疫回避の制御機構の理解につながることが期待出来る。
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Strategy for Future Research Activity |
Arf6-AMAP1経路によるPD-L1の細胞内動態の分子機序に関する解析は、継続して行う。さらに、Arf6-AMAP1経路による免疫回避の分子機序に関して、詳細な解析を進める。まず、当該経路により発現変動する液性因子に関し、発現制御に関わる因子とArf6-AMAP1経路との関連を解析する。続いて、当該経路と発現制御因子を繋ぐ分子に関し、High-throughput screeningシステムを用いて網羅的解析を行い、Arf6-AMAP1経路による免疫回避の制御機構を明らかにする。得られた成果に基づいて、新規癌免疫療法の可能性について検討する。
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Causes of Carryover |
本研究の新展開として、Arf6-AMAP1経路による免疫回避の分子機序に関わる制御因子のスクリーニングを行う必要性が生じた。High-throughput screeningシステムを用いた解析を共同研究で進めることを計画し、繰越を行った。また、動物実験による検証にも有効利用する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] ARF6 and AMAP1 are major targets of KRAS and TP53 mutations to promote invasion, PD-L1 dynamics and immune evasion of pancreatic cancer2019
Author(s)
Hashimoto, S*., Furukawa, S*., Hashimoto, A*., Tsutaho, A., Fukao, A., Sakamura, Y., Parajuli, G., Onodera, Y., Otsuka, Y., Handa, H., Oikawa, T., Hata, S., Nishikawa Y., Mizukami, Y., Kodama, Y., Murakami M., Fujiwara, T., Hirano, S., and Sabe, H. (*Equally contributed)
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Journal Title
Proceedings of the National Academy of the Sciences of the United States of America
Volume: 116
Pages: 17450-17459
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Upregulation of eIF4A/4E-dependent mRNA translation is the major target of KRAS signaling2019
Author(s)
Hashimoto A., Hashimoto S., Furukawa S., Tsutaho A., Fukao A., Onodera Y., Handa H., Oikawa T., Hata S., Nishikawa Y., Mizukami Y., Kodama Y., Murakami M., Fujiwara T., Hirano S., and Sabe H.
Organizer
第19回蛋白質科学・第71回日本細胞生物合同年次大会(オーガナイザー)
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[Presentation] Pancreatic KRAS/TP53 mutations promote ARF6-based immune evasion via activating mRNA translation and protein prenylation2019
Author(s)
Hashimoto A., Hashimoto S., Furukawa S., Tsutaho A., Fukao A., Onodera Y., Handa H., Oikawa T., Hata S., Nishikawa Y., Mizukami Y., Kodama Y., Murakami M., Fujiwara T., Hirano S., and Sabe H.
Organizer
第78回日本癌学会学術総会
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