2017 Fiscal Year Research-status Report
リボソーム結合性因子GCN1L1による翻訳制御機構の解明
Project/Area Number |
17K08616
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
山嵜 博未 弘前大学, 医学研究科, 助教 (20720915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松宮 朋穂 弘前大学, 医学研究科, 助教 (30344592)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 細胞増殖 / アミノ酸飢餓 / GCN1L1 |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質合成は1ペプチド結合形成に5ATPを要し、mTORC経路やeIF2αのリン酸化により制御される。eIF2αのリン酸化酵素GCN2はアミノ酸飢餓ストレス下での翻訳抑制に関与する。酵母においてGCN1はこの反応に必須である一方でRWDBD(RWD結合ドメイン)を持ち、GCN2、IMPACT、DFRP2などの種々のRWDタンパク質に結合する。 我々は、哺乳動物GCN1ホモログGCN1L1のRWDBD欠失マウスを作成し解析を行い①GCN1L1がGCN2を介したアミノ酸飢餓応答機構に必要であること、②GCN1L1欠失マウスは胎生期の成長遅延と出生後致死を呈しGCN2欠失マウスよりも重篤な表現型を示すことからGCN1L1がGCN2経路非依存的な機能を有することを見出した。 本研究では、GCN1L1欠失マウスの表現型および同マウスより樹立した胎仔繊維芽細胞(MEF)を用いてGCN1L1の新たな機能の探索を行った。GCN1L1がGタンパク質DRG2と結合すること、DRG2の発現低下細胞はp21の発現誘導を伴うG2/M arrestを起こすことが報告されている。GCN1L1欠失MEFでは、DRG2発現低下に伴うG2/M停止および細胞増殖抑制を起こしていた。以上のことから、GCN1L1はDRG2の調節を介して細胞増殖制御に関与するものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GCN1L1の新たな機能を見出し、GCN1L1欠失マウスの表現型をより詳細に解析することができた。しかしながら、その分子機構については明らかにできておらず今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
GNC1L1によるDRG2の安定化の分子機構を明らかにする。DRG2はエンドサイトーシスを介したトランスフェリンのリサイクリングに必須であることが知られており、GCN1L1の欠失マウスで認められる表現型が鉄の利用障害によるものであるかを検討する。DRG2経路の破綻がGCN1L1欠失マウスの表現型につながるかを明らかにするためDRG2発現によるレスキュー実験を行う。DRG2経路以外の機能も探るため、GCN1L1相互作用因子の解析も進める。
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