2019 Fiscal Year Annual Research Report
Research for understanding mechanisms to regulate retrotransposons and genes by piRNA-guided system
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17K08632
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
能村 卓慈 奈良県立医科大学, 医学部, 特任助教 (10506231)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | retrotransposon |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度ではマウス脾臓の免疫細胞に着目し、新規なレトロトランスポゾン(TEs)発現制御系の同定を試みた。脾臓に存在するDock2欠失T細胞におけるTEsの発現を調べたところ、野生型脾臓T細胞に比べてTEsの発現が有意に低下していた。Dock2は細胞骨格やシグナル伝達に関与し、免疫細胞の移動、活性化を制御しているため、この結果は脾臓T細胞の活性変化とTEs発現が関連する可能性を示唆している。本年度では、抗原に対する抗体産生応答に伴う脾臓T細胞の活性変化とTEs発現制御に着目した。脾臓には、血液凝固FVIII因子に対する中和抗体の産生に必須な濾胞性ヘルパーT細胞(Tfh)が存在し(Jing et al., Blood Adv, 2019)、また、FVIII由来ペプチドをTfhに提示して駆動する抗原提示細胞も存在する(Navarrete et al., J Thromb Haemost, 2009)。先天性血友病AはFVIIIの変異によってその活性が障害される疾患で、正常活性のFVIIIの静脈内投与による補充が行われているが、この時FVIII中和抗体が生じることがあるため、この機序の解明は臨床上の重要な課題となっている。先天性血友病Aのモデルマウスに対しマウスFVIIIを投与する実験系を用いて、マウス脾臓T細胞におけるTEsの活性制御とFVIII中和抗体産生機序の関係を調べることを試みた。マウスFVIIIは細胞にとって高発現の困難なタンパク質の一つであり、またヒトFVIIIのように製剤タンパク質を入手できないため、マウスFVIII発現・精製系の構築が必要である。本年度では、げっ歯類細胞株にマウスFVIIIを効率よく多量に産生させて精製する新規プロトコールの構築に成功した。
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