2018 Fiscal Year Research-status Report
核膜孔タンパク質とクロマチン相互作用による大腸がんの病態解明
Project/Area Number |
17K08655
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
WONG W・R 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 教授 (30464035)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 核膜孔 / クロマチン |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の体の設計図であるDNAを格納する細胞核は、核膜と呼ばれる二重膜に覆われている。また、例えばタンパク質や、mRNAといった核内外の物質の能動的なやりとりには、核膜にある唯一のゲートである核膜孔が使用されている。核膜孔は核膜孔複合体(Nuclear Pore Complex: NPC)から成り立っており、その複合体は約30種類のNPCタンパク質(ヌクレオポリン)により構成されている。 本研究課題では、ヌクレオポリンとクロマチン相互作用による大腸がんの病態解明に関する探索を行った。NPCを含む核膜は、クロマチンの空間的構成および転写調節において重要な役割を果たしている。近年NPCとクロマチンの相互作用の破綻が、がんと相関していることが明らかとなりつつある。そこで我々は大腸がん進行におけるNPCクロマチンの関係性の病理学的メカニズムを探求することを目的とした。実施期間中、大腸がん細胞における核膜孔複合体のチャネル部分を構成していると報告されているタンパク質群、FG-Nups(フェニルアラニンーグリシンーヌクレオポリン)について構造およびダイナミクスのナノスケールにおける可視化に成功した。これら結果をまとめて論文とし、現在雑誌に投稿中である。 また、ヌクレオポリンの一種であるPOM121が、核内輸送タンパク質Importin-betaと共に、前立腺がんの治療において標的となり得ることをレビューにて発表した(Cell Chem. Biol., 2018 IF5.592)。 さらに、独自のヌクレオポリンを持つインフルエンザウイルスについて、ヘマグルチニン(HA)前駆体タンパク質そのものと、その構造変化の可視化に成功し発表した(BBA-general Subjects, 2019 IF4.81)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題に関する論文を投稿中であること、また原著論文を2報発表したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は核膜孔タンパク質(NPC)とクロマチン相互作用による大腸がんの病態測定方法を確立し、大腸がん早期発見のための診断ツールの開発を進める。
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Causes of Carryover |
当初予定していた予算に加え、財団から研究助成をいただくことができたため、次年度使用額が生じた。今年度も計画的に使用し、実験を進める。
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Research Products
(16 results)