2019 Fiscal Year Annual Research Report
The significance of host immune status and microRNA abnormalities in EBV-associated tumor
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17K08716
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
牛久 綾 (篠崎綾) 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60581824)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | EBウイルス / Micro RNA / 潜伏感染遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
Epstein-Barrウイルス(EBV)は上皮性あるいはリンパ球性の様々な腫瘍の発生に関連していることが知られているが,その発癌機構についてはいまだに完全には解明されていない.EBVによる発癌機構を解明する上で,宿主の免疫状態がどのように関連しているかを検討するために,EBV関連腫瘍90例について,EBV由来のmicroRNAの網羅的発現解析,潜伏感染様式やEBVのコピー数との関連について解析を行った.その結果,EBV由来microRNAの発現やEBVコピー数は比較的免疫能の保たれた宿主において高いことが示された.また悪性リンパ腫の前段階であるリンパ増殖性疾患において,特定のEBV由来microRNAの発現が高いことが示された.これらのmicroRNAが標的とする遺伝子を検索したところ,細胞増殖に関連する遺伝子や抗原提示に関連する遺伝子が候補として挙がり,悪性度の高い腫瘍に進展する前段階でのEBV由来microRNAの意義の一端が明らかとなった.本研究により,EBVに関連した腫瘍の発生においては比較的早期の段階からEBV由来のmicroRNAの発現が重要であることが示唆された.高齢化や移植医療の発達などにより,潜在的ないし医原性の免疫不全状態にある患者が増加し,これに伴ってEBVに関連した腫瘍発生が増加することが予想される.本研究がEBVに関連した腫瘍発生の機序の一端を明らかにすることにより,診断や治療における有益な情報となる可能性がある.
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