2020 Fiscal Year Research-status Report
自閉症原因遺伝子NLGN4Xの発現変化に起因する分子病態の解析
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17K08778
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Research Institution | Institute for Developmental Research Aichi Developmental Disability Center |
Principal Investigator |
飯尾 明生 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 細胞病態研究部, 客員研究員 (80344349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松木 亨 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 細胞病態研究部, 主任研究員 (90332329)
上田 昌史 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 細胞病態研究部, 特別共同研究員 (90791541)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | NLGN4X / 自閉症 / エピジェネティクス / CpGメチル化 / CEBPδ / iPSC |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ヒト自閉症原因遺伝子ニューロリギン4X(NLGN4X)について、自閉症での遺伝子発現の変化の有無、その発現の増減を引き起こす非遺伝的背景(エピジェネティックス、環境要因)とそれによって引き起こされる分子病態を明らかにし、自閉症発症のメカニズムの解明や、発現量を指標とした新規診断法、及び 発現調節を標的にした治療法の確立とQOLの改善を目的としている。 本年度は最終年度のため、当初の研究計画が遅れていることもあり、研究計画を修正してNLGN4Xのエピジェネティカルな発現制御メカニズムについて再度まとめ直すこととした。ChIPおよびプロモーター解析、siRNAによるノックダウンの結果、未分化幹細胞や神経分化初期に働くNLGN4XのコアプロモーターにはCEBPδが正に働いていることが確かめられた。iPSCからの分化誘導過程においてはNLGN4X Exon1Aの発現低下とCEBPδの発現低下に正の相関関係が見られ、特に非神経細胞への分化ではコアプロモーター、CGIプロモーターのCpGメチル化の増加も見られた。また、CRISPR-CAS9システムを用いたアセチル化ジーンドライブによりNLGN4Xのプロモーターを活性化したところ、Exon1Cの発現増加が見られた。一方、iPSCにおいてNLGN4XをCRISPR-CAS9でノックダウンしたところ、代償的にNLGN4Yの発現が有意に増加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ヒトiPSC別ロットからの神経細胞分化および非神経細胞分化誘導のセットアップにかなりの時間を要したため、発現制御機構の再解析に遅滞が生じた。また、年度始めおよび年末年始にはコロナウイルス状況下で活動制限したため論文投稿まで至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ状況下により研究期間を1年延長したため、年度内に論文の内容を精査し投稿する。また、昨年度実施できなかったAVP分泌制御の解析について、CRISPR-CAS9系を用いたノックインによりAVP分泌検出系を作製し、NLGN4X-NRXNシグナルとAVP分泌の相関について解析する。
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Causes of Carryover |
ヒトiPSC別ロットからの神経細胞分化および非神経細胞分化誘導のセットアップにかなりの時間を要したため、発現制御機構の再解析に遅滞が生じた。また、年度始めおよび年末年始にはコロナウイルス状況下で活動制限したため論文投稿まで至らなかった。1年研究期間を延長して年度内での論文投稿用、研究打ち合わせのための旅費、ならびに昨年度実施できなかったAVP分泌制御機構の解析用の物品費として計上する。
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Research Products
(1 results)