2017 Fiscal Year Research-status Report
バクテリオファージが引き起こす腸内細菌叢破綻メカニズムに関する研究
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17K08845
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
関塚 剛史 国立感染症研究所, 病原体ゲノム解析研究センター, 室長 (40462775)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ファージ / 腸内細菌 / 多様性 / 細菌叢破綻 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症性腸疾患(IBD)の発症機序の1つとして、腸管内でのバクテリオファージによる腸内細菌の溶菌、それに続く菌体内からの抗原の露出により、炎症が惹起さることが想定される。IBDを含むdysbiosisが生じる腸管疾患を理解する上で、ファージと細菌叢との関係性を明確にする必要が有る。 本研究は、ファージが引き起こす腸内細菌叢破綻メカニズムに関する研究である。健常者およびIBD患者の腸内の全バクテリオファージ解析(phageome解析)と細菌種の株レベルでのゲノム比較・多様性解析を行い、ファージにより溶菌される細菌叢中の主要クローンとそのファージを特定し、ファージによる腸内細菌叢破綻メカニズムを解明することを目的としている。 本年度は、糞便中のファージ粒子の回収方法の検討とファージゲノム解析を行い、腸管内ファージ配列のカタログ化 (phageome解析)を行なった。また、公開済みファージゲノム配列及び細菌ゲノム配列よりprophage領域を推定及び抽出し、phageome解析の為のファージゲノムDNA配列のデータベース作成も行った。糞便中のファージを効率よく回収する手法を確立し、メタゲノム配列からde novo assembleすることで、糞便中に存在する主要なファージゲノム配列を取得した。配列のカタログ化は実施することができ、新規ファージゲノム配列が多数存在することが明らかとなった。更に、潰瘍性大腸炎(UC)患者の病変粘膜細胞内から分離されたFusobacterium variumの完全長ゲノム配列も決定し、本菌の特徴をゲノムレベルで解析し、本菌の有するprophage領域も推定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
糞便中のファージを効率よく回収する手法は確立でき、メタゲノム配列からファージ配列をde novo assembleすることで、糞便中に存在する主要なファージゲノム配列を取得し、配列のカタログ化は実施することができた。それら配列を作成したデータベースを用いて検索したところ、新規ファージゲノムが多数存在し、どの細菌種に感染するファージであるかまでは、本年度では特定できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
ファージ粒子及びファージゲノム配列は得られているので、次年度にて、UC患者のどの種類のファージが健常者のどの菌種に作用するかを実験的に確認し、さらに、得られたファージの感染能力についてもphageome解析を用いて調査していく。
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Causes of Carryover |
理由: 年度末納品等にかかる支払いが平成30年4月1日以降となったため、当該支出分については次年度の実支出額に計上予定である。平成29年度分については、一部次年度使用額が生じてるが、本研究にて、ファージ粒子を効率よく回収できたことで、当初予定していた次世代シークエンサーの解読回数よりも少ない条件で解析を行なうことができた為である。 使用計画: 次年度に計画しているファージ感染実験条件下でのphageome解析にかかる費用として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)