2018 Fiscal Year Research-status Report
プロテオーム解析とライブセルイメージングによるマスト細胞分泌顆粒の分泌経路の解明
Project/Area Number |
17K08890
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
田中 正太郎 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (90380667)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 分泌顆粒 / マスト細胞 / 磁性ビーズ / プロテオーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
【具体的内容】①昨年度に構築した、マスト細胞株RBL-2H3の分泌顆粒結合タンパク質の安定発現株(蛍光タンパク質を融合)を研究モデルとして、抗原抗体反応による分泌顆粒の特異的分離・回収方法を確立した。具体的には、認知された分泌顆粒マーカータンパク質であるVamp7に赤色蛍光タンパク質を融合させたものを細胞に発現させ、これが局在している分泌顆粒のみを磁性マイクロビーズによって特異的に回収した。これにより質量分析によるプロテオーム解析に十分な量を得ることができたため、外部委託による解析フェーズに移行した。現在解析結果の詳細な分析を進めるとともに、2回目のプロテオーム解析に向けて準備を進めている。 ②将来的に、より生体に近いマスト細胞の利用を指向している。そのため、ラット腹腔マスト細胞の調製および遺伝子導入を検討した。本年度は調製法および遺伝子導入法の技術的最適化を進めた。 【意義】以上の結果は、当初予定していたH29年度研究計画の作業内容(セルソーターによる分泌顆粒の調製)とは異なるが、結果として分泌顆粒のプロテオーム解析に移行できたことから、進行としては順調であると言える。 【重要性】本年度達成した「分泌顆粒調製技術の確立」が意味するところは、「任意のオルガネラをプロテオーム解析できるようになった」ということである。本技術は汎用性があり、かつセルソーターに比べて設備が不要で安価かつ簡便であることから、細胞生物学分野の基盤技術として社会に貢献できると考えている。 【発表など】H30年度日本生化学会大会で発表(ポスター)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の実施状況報告書の「8.今後の研究の推進方策」に記載した内容を、おおむね達成することができたためである。具体的には、任意の分泌顆粒結合タンパク質(Vamp7)が局在している分泌顆粒を、抗体標識した磁性マイクロビーズで特異的に回収する技術を確立した。調製された試料は、特異性および回収量ともに必要な要件を満たしたことから、当初計画のプロテオーム解析に移行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
①上記の技術を活用し、複数の主要な分泌顆粒結合タンパク質(例として:Syntaxin3、Rab27a、カテプシンD)を標的としたプロテオーム解析を実施する。結果を詳細に分析し、タンパク質構成に基づく分泌顆粒の分類を検討する。 ②プロテオーム解析結果を元に、分泌顆粒分類のカギとなるタンパク質を選出し、その細胞内局在を遺伝子導入および免疫染色によって確認する。 ③タンパク質構成で分類された分泌顆粒について、申請者独自の技術である「陰性造影法」を利用してその構造および細胞内動態を明らかにする。 ④主要な分泌顆粒結合タンパク質と、それが結合している分泌顆粒との相関関係を明らかにし、「分泌顆粒マップ」を構築する。
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Causes of Carryover |
予定していたプロテオーム解析(外部委託)2回の内、1回分をまだ実施していないため(年度末の受注混雑により委託先の解析に時間がかかった)。今年度に実施予定。
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Research Products
(1 results)