2021 Fiscal Year Research-status Report
学習効果と意欲向上の為に反転授業を系統的に導入した医学教育カリキュラムの構築
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17K08925
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
赤津 晴子 国際医療福祉大学, 医学部, 主任教授 (40791504)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 素文 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (00291518)
北村 聖 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (10186265) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アクティブラーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
一方的な知識の伝達を目的とした授業形態を受動的学習と呼ぶならば、アクティブラーニングとは教員と学生とのディスカッションを通し、知的に成長する場を創り、学生が主体的に問題を発見し解決策を見いだしていく能動的学習である。アクティブラーニングにより、学生の学習効果と意欲が高まるという報告は多数あるものの、アクティブラーニングに対する教員の理解、教材開発のノウハウには大きな差がある。本研究では臨床実習前医学部卒前教育にアクティブラーニングを浸透させる為の問題点を明確化し、学習効果と学習意欲を高める効果的なアクティブラーニングカリキュラムを構築、実施し、その評価をすることを目的とする。 準備期間を経て、各々の教員が2017年度、2018年度にそれぞれに試みたアクティブラーニングに対する学生からのアンケート調査結果を分析した所、本学においてもアクティブラーニング導入度と学生のやる気向上、学習効果向上の間には相関が認められた。その一方で、アクティブラーニング導入の為の課題も明確となった。2019年度には、これらの課題への取り組みを検討し、時間割の組み立て方を変更し、新しい授業形態の導入を準備した。 しかし、2020年度には新型コロナウィルス蔓延の為、本学では1学期は全てオンライン授業とし、2学期は3密(密接、密集、密室)を避けた対面授業に変更し、3学期には3密を避けた対面授業とオンラインとのハイブリッド授業を行った。2021年度では、基本的に対面授業を継続する一方で、感染状況により一部ハイブリッド授業も行った。教室定員を約50%から70%とした結果、学年全員が一教室にて対面で授業を行う事を前提として2019年度に計画したアクティブラーニング授業形態を、2021年度にも十分に実現する事が困難となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
教員がそれぞれにアクティブラーニングを試みた科目終了時に学生が回答したアンケート結果を分析した結果、学生から見たアクティブラーニング導入度は科目によりばらつきが見られたものの、アクティブラーニング導入度と学生のやる気向上、学習効果向上の間には高い相関が認められた。 アクティブラーニング導入に際しての課題を分析した結果、アクティブラーニングに必要な授業外の事前学習時間確保の難しさや、授業担当教員数不足の為に教員の監督が届く小グループ活動の難しさが明らかになった。 その為に本学では時間割を変更し、毎週水曜の午後3時間を自習時間とした。その結果、それ以前と比べ学生の自習時間が増加した。又新型コロナウィルス蔓延により、講義の録画配信という概念が進み、反転授業推進に貢献した。更に2020年度1学期にオンライン授業のみに切り替えた際には、オンライン通信システムの小グループ分け機能を使い、想像以上にアクティブラーニング実施が容易になった。 一方で、水曜午後3時間の自習時間のみでは、アクティブラーニングに不可欠な事前の学生による自習時間がまだ不足している事も明らかとなり、3密を避ける為に2つの教室(Team Based Learning教室も含む)をオンラインで繋いでの授業形態では一つの教室では教員不在となり、授業担当教員数不足の為に教員の監督が届く小グループ活動の難しさが更に増大した。 現在の3密を避けた対面授業では、上記の様な理由の為、2019年度に準備したアクティブラーニング実施を十分に試みる事が難しかった為、進捗がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に続き2021年度も新型コロナウィルス蔓延の為、3密を避けた授業形態となったが、2022年度に3密を避ける必要のない通常の対面授業が可能となれば、2019年度に新型コロナ前に計画していたアクティブラーニングを実施し評価したい。 一方で、2022年度も感染症対策を取りながらの授業運営を迫られる場合には、3密を避ける対面授業におけるアクティブラーニングのあり方を引き続き検討、実施、評価したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの世界的パンデミックの為、2019年度まで毎年参加していた医学教育国際学会等もオンライン開催となり、2021年度以降にも生じる予定であった渡航費用、宿泊費が不要となった。その一方で2021年度末も近い 3月上旬、英国オックスフォード大学から本研究代表者が招聘を受け、アクティブラーニングを教育理念とする新しい本学の医学教育をオックスフォード大学のセミナーにて発表し、オックスフォード大学教員より本学教育の外部評価を受ける機会をいただいた為、2021年度に繰り越した研究費の大半を使用した。しかし若干少額が残った結果、次年度使用額が生じた。次年度繰越し金は次年度の学会参加費用に充てる計画である。
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Research Products
(5 results)