2017 Fiscal Year Research-status Report
Research on decision process for recomendation grade in clinical practice guidelines
Project/Area Number |
17K08941
|
Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
濱島 ちさと 国立研究開発法人国立がん研究センター, 社会と健康研究センター, 室長 (30286447)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 多元的判断分析 / 医療経済学 / 診療ガイドライン / がん検診 / 政策決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国における診療ガイドライン作成において、利益・不利益バランスを検討するための標準的方法を確立することを目的とし、以下の検討を行う。 1)Multiple Criteria Decision Analysis(MCDA)に関する文献的検討、2)我が国の診療ガイドラインにおける利益・不利益バランスの評価方法の比較検討、3)我が国の診療ガイドライン作成に応用可能な利益と不利益のバランスの評価方法の開発、4)がん検診における開始・終了年齢の検討。さらに、これらの結果に基づき、診療ガイドライン作成における利益・不利益バランスの判断基準設定のために政策提言を行う。 平成29年度は、以下の検討を行った。 1.がん検診の選好について、多元的判断分析(Multiple Criteria Decision Analysis, MCDA)の事例に関する文献的検討を行った。定型的ながん検診の選好嗜好に関する評価には、従来は仮想評価法(contingent valuation)やconjoint analysisが用いられることが多かったが(Phillips KA, et al. 2006)、近年ではMCDAの応用も見られ、MCDAのなかでも、Analytic Hierarchy Process(AHP)が主に用いられている。 2.多くのガイドラインが推奨決定に利益・不利益バランスを考慮するようになったが、その方法は明示されていない。U.S. Preventive Services Task ForceはNNI(Number Needed to Treat)やDecision Modelを用いている。英国NICEは閾値を設定し、費用効果分析を行っている。一方、ドイツIQWIGはMCDAを応用している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.がん検診における多元的判断分析(Multiple Criteria Decision Analysis, MCDA)の応用事例の検討 がん検診の選好嗜好に関する評価には、従来は仮想評価法(contingent valuation)やconjoint analysisが用いられてきたが(Phillips KA, et al. 2006)、近年ではMCDAの応用も見られ、なかでもAnalytic Hierarchy Process(AHP)が主に用いられている。大腸がん検診、肺がん検診、子宮頸がん検診の選好も検討されていた。大腸がん検診、肺がん検診については、市民を対象として、受診選好の順位付けに用いられていたが、子宮頸がん検診では政策決定に関与して液状検体法の価値づけを行っていた。子宮頸がん検診では、近年のMCDAで汎用されているEVIDEMアプローチが用いられている。AHPにおいては、評価の項目をどのように抽出するかが結果に影響することから、その基準を明確にすることが求められている。EVIDEMアプローチでは評価項目として、4つの大項目(エビデンスの質、疾病負担、介入、医療経済)からさらに細部の評価項目を設定している。異なる介入方法の優先順位付けを決定する上では、評価項目に偏りなく、すべての医療サービスの評価に外挿できるように設定されていた。 2.診療ガイドラインの利益・不利益バランスの評価方法の比較 多くのガイドラインが推奨決定に利益・不利益バランスを考慮するようになったが、その方法は明示されていない。US Preventive Services Task ForceはNNI(Number Needed to Treat)やDecision Modelを用いている。英国NICEは閾値を設定し、費用効果分析を行っている。一方、ドイツIQWIGはMCDAを応用している。
|
Strategy for Future Research Activity |
我が国における診療ガイドライン作成において、利益・不利益バランスを検討するための標準的方法を確立することを目的とし、以下の検討を行う。1)Multiple Criteria Decision Analysis (MCDA)に関する文献的検討、2)我が国の診療ガイドラインにおける利益・不利益バランスの評価方法の比較検討、3)我が国の診療ガイドライン作成に応用可能な利益と不利益のバランスの評価方法の開発、4)がん検診における開始・終了年齢の検討。さらに、これらの結果に基づき、診療ガイドライン作成における利益・不利益バランスの判断基準設定のために政策提言を行う。 【平成30年度】 平成29年度の文献レビューの結果に基づき、多元的判断分析(Multiple Criteria Decision Analysis, MCDA)の方法別の応用性と結果についての比較検討を行う。我が国の診療ガイドラインの検討課題を分類し、検討課題に対応した方法論の妥当性を検証する。さらに、複数のがん検診が推奨されている場合、優先順の決定にMCDAを応用する。 【平成31年度】 平成30年度に行ったモデル評価・費用効果分析により開始・終了年齢の検討を他のがん検診にも応用し、検討する。3年間の研究成果を踏まえ、診療ガイドライン作成において、利益・不利益バランスを計量的に判断する方法を明確化し、透明性の高いガイドライン作成方法を確立する。
|
Research Products
(18 results)