2020 Fiscal Year Research-status Report
ストレス性痛覚過敏-下行性疼痛調節系の機能変化とエピジェネティクスの関与―
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17K09038
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
井辺 弘樹 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60326353)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 晃久 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (20225022)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ストレス / 痛覚過敏 / 下行性疼痛調節系 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性ストレス後、機械的感覚過敏を示したラットにおいて、下行性疼痛調節系やその活動をコントロールする高位中枢において転写因子の発現とエピジェネティクスの変化を検討した。ラットに3週間の慢性拘束ストレスを負荷するとラット後肢に有意な機械的感覚過敏が生じた。そして、下行性疼痛調節系の吻側延髄腹内側部で MeCP2 陽性細胞の有意な増加が認められた。MeCP2は標的遺伝子のメチル化されたプロモーター領域と結合し転写を抑制すると考えられている。しかし、この慢性拘束ストレスモデルでは吻側延髄腹内側部において DNAメチル化は減少していた。MeCP2は標的遺伝子のメチル化されていないプロモーター領域と結合し、pCREB と複合体を形成して標的遺伝子の転写を活性化する。さらなる検討の結果、吻側延髄腹内側部で pCREB 陽性細胞の有意な増加が認められ、MeCP2 陽性細胞の約90%に pCERB の共存が認められた。これらのことは、慢性ストレス後、吻側延髄腹内側部における、活発な標的遺伝子の転写を示唆するものである。また、吻側延髄腹内側部 5HT や GABA 含有神経細胞では MeCP2 の有意な増加は認められなかった。これら結果は、国際雑誌に論文として投稿した。 現在、文章や構成を改め、再度投稿を予定している。また、高位中枢では、下行性疼痛調節系の活動をコントロールする内側視索前野でもMeCP2 陽性細胞の有意な増加が認められた。現在、吻側延髄腹内側部においてストレス性痛覚過敏に関連する CCKBR, MOR1, NK1R などの発現を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
慢性ストレス後、機械的感覚過敏を示したラットにおいて、下行性疼痛調節系の吻側延髄腹内側部で MeCP2 陽性細胞の有意な増加が生じることなどを明らかにし、国際雑誌に投稿している。さらに、内側視索前野の pCREB やアセチル化ヒストンH3 の変化などは学会で報告した。計画はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 慢性ストレス後の痛覚過敏において、下行性疼痛調節系やその活動をコントロールする高位中枢での活動変化とエピジェネティクスの変化を調査するため、 引き続き、コントロール、慢性ストレス負荷ラットの下行性疼痛調節系やその活動をコントロールする高位中枢において、acetyl Histone H3、MeCP2、pCREB、 c-Fos、delta-FosB などの発現を調査する。また、これらの変化がどのような細胞で生じているか調べるために二重染色を行う。 2、慢性ストレス後の下行性疼痛調節系やその活動をコントロールする高位中枢において、ヒストンのアセチル化と DNA メチル化・ヒドロキシメチル化は解析 Kit を用いて調査する。 下行性疼痛調節系やその活動をコントロールする高位中枢において、ストレス性痛覚過敏に関連するCCKB, Tac1, Neurotensin, CCKBR, MOR1, NK1R などの発現を PCR にて検討する。
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Causes of Carryover |
当該年度に実施予定の実験の一部を行うことが出来なかったため、抗体や実験動物などの購入費用に余りが生じたため。PCR 試薬や Primer、免疫組織染色等に用いる抗体や実験動物などの購入に使用する予定である。 1. 慢性ストレス後の痛覚過敏において、下行性疼痛調節系やその活動をコントロールする高位中枢での活動変化とエピジェネティクスの変化を調査するため、 引き続き、コントロール、慢性ストレス負荷ラットの下行性疼痛調節系やその活動をコントロールする高位中枢において、acetyl Histone H3、MeCP2、pCREB、 c-Fos、delta-FosB などの発現を調査する。また、これらの変化がどのような細胞で生じているか調べるために二重染色を行う。 2、慢性ストレス後の下行性疼痛調節系やその活動をコントロールする高位中枢において、ヒストンのアセチル化と DNA メチル化・ヒドロキシメチル化は解析 Kit を用いて調査する。 下行性疼痛調節系やその活動をコントロールする高位中枢において、ストレス性痛覚過敏に関連するCCKB, Tac1, Neurotensin, CCKBR, MOR1, NK1R などの発現を PCR にて検討する。
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