2017 Fiscal Year Research-status Report
Augmentation in insulin resistance by pyrethroid pesticide invalidating the claim of its safety
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17K09154
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
崔 正国 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (90572115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲寺 秀邦 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (10301144)
小川 良平 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (60334736)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ピレスロイド系農薬 / 糖代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
ピレスロイド系農薬は家庭用あるいは果実や野菜の農業生産用に利用される殺虫剤である。ピレスロイド系農薬は天然除虫菊有効成分(ピレトリン)類のⅠ型とそのシアノ基修飾類のⅡ型がある。Ⅰ型に比べてⅡ型はより強い殺虫力と残効性を示す。哺乳類・鳥類の受容体に対する作用は弱く、比較的安全性の高い殺虫剤として認識されていた。しかし、Ⅱ型ピレスロイド系農薬は実験動物等において神経系や生殖ホルモン系統への悪影響が報告されている。しかも、Ⅱ型は安価で残効性の高いため農業生産者がⅡ型を良く使用する傾向にある。また、ピレスロイド系農薬は農産物の収穫前日までの使用が認められており、長期間の摂取は微量でもヒトへの生理学的・衛生学的問題が懸念されている。最近、ピレスロイド系殺虫剤を生産する労働者に糖代謝異常と糖尿病患者が有意に増える疫学的研究が報告されているがその詳細は不明である。本研究では、ヒト肝癌由来細胞株であるHepG2細胞を用いて、Ⅱ型ピレスロイド系農薬であるフェンバレレートを培地に添加して48時間前処理を行った。Dulbecco's Modified Eagle Mediumのみにより培養したHepG2細胞を対照群として用いた。それぞれの培養液を回収して、グルコーズの取り込みを比較検討した結果、フェンバレレートにより長期培養したHepG2細胞によるグルコースの取り込みが対照群に比べて顕著に増強していることが判明した。また、フェンバレレートの前処理が細胞内の糖代謝とATPの生成に影響することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト肝癌由来細胞株であるHepG2細胞を用いて、フェンバレレートを培地に添加して48時間培養し、培養液中のグルコースを測定した結果、フェンバレレートの曝露がHepG2細胞のグルコースの取り込みを増強することが判明した。また、フェンバレレートの処理が細胞内の糖代謝とATPの生成及び細胞の増殖と生存に関与するタンパク質の発現に影響することを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点での研究成果に踏まえて、フェンバレレートの曝露によるHepG2細胞糖代謝の変化が肝臓細胞に及ぼす病理学的な影響を詳細に検討する予定である。多くのがん組織では糖の取込みと代謝が亢進しており、がん細胞の増殖や生存に有利に働いていることが報告されている。そこで、今後フェンバレレートの曝露による細胞のグルコーズの取り込みとエネルギー代謝の変化ががん治療の成績に及ぼす影響とその分子メカニズムを解析し、有効ながん治療の対策を確立するために有用な情報を提供したいと考えている。
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Causes of Carryover |
研究費を計画的に節約して使用したため次年度の使用額が生じた、平成30年度研究の消耗品の購入に使用する。
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Research Products
(7 results)