2018 Fiscal Year Research-status Report
Augmentation in insulin resistance by pyrethroid pesticide invalidating the claim of its safety
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17K09154
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
崔 正国 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (90572115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲寺 秀邦 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (10301144)
小川 良平 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (60334736)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ピレスロイド系農薬 / インスリン / がん / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌細胞は、主に嫌気的解糖系に依存してエネルギーを産生し、増殖する。酸素を利用するミトコンドリア内電子伝達系やクエン酸回路に比較して解糖系はエネルギー産生効率が非常に低い。それで、癌細胞ではグルコースの取り込みと解糖系の活性化が非常に重要である。環境汚染物質は体内の活性酸素増加や脂肪組織の炎症などに関与し、糖代謝のバランスに影響することが報告されている。ピレスロイド系農薬は家庭用あるいは果実や野菜の農業生産用に利用される殺虫剤である。実験動物等において神経系や生殖ホルモン系統への悪影響が報告されているが、糖代謝に及ぼす影響については不明な点が多い。本研究では、Ⅱ型ピレスロイド系農薬であるフェンバレレートががん細胞の糖代謝とストレスの応答能力に及ぼす影響について解析した。ヒト肝癌由来細胞株であるHepG2細胞をⅡ型ピレスロイド系農薬であるフェンバレレートにより48時間前処理するとグルコーズの取り込みが顕著に増加された。また、無処理群に比較してフェンバレレート処理群は細胞内乳酸とATPの産生が有意に増強した。インスリンのシグナル伝達経路を解析した結果、フェンバレレートはインスリンレセプターのエンドサイトシースを増強し、さらにその下流のPI3K-AKT経路の活性化の増強が明らかになった。現在、フェンバレレートが誘導する異常な糖代謝によるがん細胞のストレス応答能力の変化とその詳細な分子メカニズムについて解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フェンバレレートががん細胞の糖代謝に影響することを認めることができた。フェンバレレートが細胞のグルコースの取り込みを増強し、乳酸とATPの産生の増加するだけではなく、インスリンレセプターのエンドサイトシースの増強とPI3K-AKT経路の活性化に寄与することを見出し、インスリンのシグナル伝達経路に及ぼす影響の分子メカニズムの一部を解明した。また、異常な糖代謝によるがん細胞のストレス応答能力の変化も確認でき、その上流のキーになる分子について順調に解析しており、論文の作成に取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、フェンバレレートがインスリンのシグナル伝達経路に及ぼす影響の分子メカニズムをさらに詳細に解析する。具体的には、インスリンレセプターのエンドサイトシースに影響するキーになる分子を同定する。また、異常な糖代謝によりがん細胞がどのような環境ストレスに耐性を持ち、どのような分子メカニズムにより制御されるかを明らかにする。それらのデータに基づいて、フェンバレレートの曝露から健康を守るための対策を確立する。
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Causes of Carryover |
最終年度の研究のため節約して使用したため
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Research Products
(8 results)