2018 Fiscal Year Research-status Report
M細胞表皮型脂肪酸結合タンパク質発現による腸内抗原環境維持機構
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17K09368
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
鈴木 良地 秋田大学, 医学系研究科, 准教授 (20396550)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | パイエル板 / 脂肪酸結合タンパク質 / マクロファージ / M細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
パイエル板胚中心のマクロファージは周囲のB細胞を貪食している。これは、正常に腸管粘膜IgAに分泌されるのに必要なプロセスで、腸管粘膜免疫の機能を保つのに重要である。表皮型脂肪酸結合タンパク質(epidermal fatty acid protein, EFABP)は胚中心マクロファージで強発現しており、上記プロセスへの関与が予想される。 アポトーシスによる細胞死において本来細胞内に偏在するphosphatidylserine(PS)が細胞膜表面に露出する。AnnexinVはPSに結合、これを固定する。マクロファージ系のRAW264.7細胞は内因性にEFABPを発現するが、EFABP siRNAによるEFABP発現抑制により、培地中に分泌されるAnnexinVが減少し、HEK293細胞でのEFABP強制発現により培地中に分泌されるAnnexinVが増加した。一方、パイエル板胚中心のマクロファージの周囲にはAnnexinV陽性の顆粒が存在し、これに一致してPS強陽性反応が観察された。 マクロファージにEFABPが発現することでAnnexinVの分泌亢進が惹起され、PSが周囲の細胞表面に固定されることで貪食亢進が起きていると考えられた。これまでの結果と併せて腸管粘膜免疫の最初のステップであるM細胞による、腸管内抗原の粘膜下への提示、腸管粘膜免疫の最終的なアウトプットであるIgA産生の両方にEFABPが関与していることになる。 パイエル板が腸管粘膜免疫の機構として正常に働くために、離れた場所に存在するM細胞と胚中心マクロファージが協調することが必要と考えられる。 それぞれにEFABPが発現し機能調節因子として働くことが、協調の実体の一つであると考えられる。これを具体的に説明するためには、パイエル板内のEFABP上位のシグナル分子の存在を証明する必要があるが、今後の検討課題としたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画で重要な実験手法であるin vivoでのelectroporationによるマウス腸管上皮における表皮型脂肪酸結合タンパク質(epidermal fatty acid protein, EFABP)強制発現系が成功していない。
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Strategy for Future Research Activity |
最近になって当初予定していた装置とは異なるelectroporation装置を使える機会を得たので、新たな条件で試行を行っている。 既にelectroporationが成功しているCaco2細胞を使ったin vitroの系での代替を検討する。
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Causes of Carryover |
経費節約に努めた結果当初の計画より当該年度使用額が減額できた。 次年度使用額は試薬の購入に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)