2017 Fiscal Year Research-status Report
高血圧における自律神経・免疫系ネットワークの機序解明と新たな診断法の開発
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17K09508
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
廣岡 良隆 国際医療福祉大学, 福岡保健医療学部, 教授 (90284497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸 拓弥 九州大学, 循環器病未来医療研究センター, 准教授 (70423514)
西原 正章 九州大学, 大学病院, 助教 (70641017)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 高血圧 / 交感神経系 / 脳 / 心臓 / アンジオテンシンII |
Outline of Annual Research Achievements |
1)高血圧自然発症ラットの血圧上昇過程において脳内マクロファージの活性化が関与していることを見出した。マクロファージ抑制物質であるクロドロン酸リポゾームの脳内投与によって対照群と比べて血圧上昇過程の程度が抑制されていることを観察した。視床下部交感神経活性化細胞の興奮性をc-fos免疫染色法で比較し、興奮細胞数が抑制されていることも確認した。ヘキサメトニウム投与による降圧効果も小さくなっており、本モデルラットの高血圧進展における交感神経活性化に脳血管周囲マクロファージの重要性が示唆された。 2)慢性腎臓病マウスにおいて、高血圧が生じたことを確認し、アンジオテンシン受容体拮抗薬を経口投与し降圧治療を行った。その上で、腎除神経を行うとさらなる降圧効果が認められた。視床下部酸化ストレスの低下を介した全身の交感神経活動の抑制が認められた。したがって、腎除神経が全身性の交感神経抑制効果につながっていることが考えられた。さらに、その機序の一部としてアルドステロン抑制作用が関与していることを示唆する成績を得た。 3)圧負荷心肥大マウスでは心臓transient receptor potential vanilloid subtype 1(TRPV1)の活性化が肥大形成と交感神経活性化に関与していることを見出した。さらに、その情報を受ける部位として脳内延髄孤束核が重要であり、ウエスタン・ブロット法によって脳由来神経栄養因子の発現が増加していることが観察された。TRPV1ノックアウトマウスではその発現増加が抑制されており、心肥大の進行も抑制されていた。これらの成績は、高血圧による圧負荷において心臓が受ける情報と脳での相互作用の重要性を示す知見であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高血圧における自律神経系や免疫系の役割、血圧上昇機序、脳・心臓・腎臓との関連などの解明が進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進行している研究成果を論文作成へ向けて進める。また、臨床観察研究の実施の準備を進めていく。
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Causes of Carryover |
一部の物品・消耗品購入に当たり選定に時間を要し、次年度購入の方が適切と判断したため。
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