2017 Fiscal Year Research-status Report
組織化学的視点からみた左室流出路狭窄を伴う大動脈弁狭窄に対するモロー手術の有用性
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17K09528
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
桑木 賢次 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90398313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 訓 順天堂大学, 医学部, 准教授 (20407315)
山本 平 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (70301504)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 大動脈弁狭窄 / 左室流出路切除 / 心筋収縮力 |
Outline of Annual Research Achievements |
2010年から現在まで当院で大動脈弁狭窄に対し大動脈弁置換術を受けた成人症例を対象とした。該当症例は493例であった(AVR群)。そのうち中隔切除を併施されたのは45例であった(SEP群)。平均年齢はAVR=72.7, SEP=76.1, p<0.01、女性の割合AVR=49.5%, SEP=33.3%, p<0.05とSEP群が高齢で男性が多かった。平均BMI、高血圧および糖尿病の合併に有意差は認めなかったが、脂質異常症の合併はSEP群で有意に多かった(AVR=221 (44.8%), SEP=29 (64.4%), p<0.05)。術前の透析の有無に差は見られなかったが、CreはAVR群で有意に高かった(AVR=23.0, SEP=23.5, p=0.335)。eGFRに差はなかった。 術前の心エコーデータでは左房径に有意差は見られなかったが、SEP群でLVDdは有意に小さかった(AVR=47.5, SEP=43.9, p<0.01)。また中隔径はSEP群で有意に大きかった(AVR=11.5, SEP=12.7, p=<0.01)。一方で左室駆出率(LVEF)、左室内径短縮率(FS)はSEP群で有意に高かった(LVEF:AVR=64.7, SEP=69.2, p<0.05、FS:AVR=37.5, SEP=40.6, p<0.05)。 手術手技において、冠動脈バイパス術の合併手術はAVR=148 (30.0%), SEP=9 (20.0%)とAVR群で多い傾向が見られたが、有意差はなかった(p=0.159)。手術時間にも差はなかった(AVR=268.7 min, SEP=253.5 min, p=0.336)。術後合併症のうち、術後心房細動の発生頻度、人工透析(一時導入含む)および輸血の有無に差は認めなった。またICU滞在日数および術後在院日数にも差は認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでに切除された肥厚中隔心筋はパラフィン固定されている。これらの組織を切片にしてマッソン・トリクローム染色したところ、染色性は保たれていた。厚みの検討を終了し、現在、組織染色を進めている段階である。また心臓超音波画像を再取り込みし、ソフトを使って解析中である。予定よりも順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年の検討ではマッソン染色が予定よりも早く進んでおり、今後は染色された組織切片を画像として取り込みソフトウェアを用いて線維化の定量を行う予定である。また合わせてこれらの組織を用いた免疫染色を行い、炎症性物質(マクロファージ)の浸潤がどの程度認められるのか、血流による物理学的ストレスによりその他のサイトカインやタンパクの発現にどのようなパターンがみられるのかの解析を考えている。またこれらのデータと心臓超音波所見を組み合わせ、組織の線維化と心筋の収縮力にどのような相関がみられるのかを比較検討をする予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は予定以上に研究が進捗したため、次年度分の前倒し請求を行った。その後はほぼ予定通りの研究進捗であった。このため本年度分として前倒し請求した予算も多少の残額があったもののほぼ予定通り使用した。
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