2017 Fiscal Year Research-status Report
NRDCによる洞房結節自動能制御機構および家族性洞不全症候群における意義の解明
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17K09575
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
大野 美紀子 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (10583198)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 洞房結節自動能 / 転写制御 / メタロプロテアーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
多機能タンパク質ナルディライジン(NRDC)の遺伝子欠損マウスは、高度の徐脈を呈する。その原因は、家族性洞不全症候群の原因遺伝子の一つであるイオンチャネル(HCN4)の発現低下によるIf電流の低下であることが明らかとなった。本研究では「NRDCが核内において、転写因子と複合体を形成し、HCN4の発現を制御する」という仮説のもと、NRDCによる、生理的状態と家族性洞不全症候群における洞房結節自動能制御の役割解明を目的とし以下の検討を行った。 (1)NRDCがHCN4の上流に存在し、転写を制御するのか:抗NRDC抗体及びマウス心臓由来クロマチンを用いたChIP法を行い、NRDCが実際にHCN4の転写調節領域(プロモーター及びエンハンサー領域)に結合することを見出した。また、そこにNRSFなどの転写因子が関与する可能性が見出された。 (2)心房(洞房結節)特異的NRDC欠損マウス(Sln-NRDC-CKO)の解析:心電図テレメトリーシステムを用いて、同マウスが徐脈を呈するかどうかを検討した。現在データ取得を終え解析中である。 (3)酵素活性欠失型変異NRDCノックインマウスの作製:NRDCによる転写制御に自身の酵素活性が必要である可能性が細胞実験系で見出された。NRDCのプロテアーゼ活性が生体内でどのような意義を持つのかを明らかにするために、酵素活性欠失型NRDCノックインマウスを作製した。現在ヘテロマウスが生まれており、ホモノックインマウスを得るために交配中である。 (4)家族性洞不全症候群におけるNRDCの意義の解明:既に同意を得た家系において遺伝子解析を行い変異NRDCの検索を行ったが、解析症例42例の中から新たな遺伝子変異は同定されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験計画に挙げた4項目のうち、(4)はネガティブデータであったが、それ以外についてはおおむね予定通り実験が進んでおり、想定外のトラブルなく計画通りに実験が進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト洞不全症候群症例におけるNRDC遺伝子の変異検索は、倫理的側面、DNAサンプルの採集の面から研究期間内に執り行うことは困難であると判断した。(1)については再現性を含めさらなる分子メカニズムの解明にあたり、(2)(3)を明らかにするべく研究を継続する。
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Causes of Carryover |
項目「その他」にあたる動物実験使用料が今年度は予定よりも安価に済んだが、次年度は動物実験の再現性を取るために交配・繁殖を行うため、繰り越し分も有効活用する予定である。
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Research Products
(9 results)
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[Presentation] ナルディライジンは神経栄養因子受容体(p75NTR)のシェディングを介して心臓交感神経の分布を制御する2017
Author(s)
大野美紀子, 西 清人, 平岡 義範, 新妻 晋一郎, 西城 さやか, 坂本 二郎, 陳 博俊, 森田 雄介, 松田 真太郎, 椋本 淑子, 清成 寛, 松浦 博, 北 徹, 木村 剛, 西 英一郎
Organizer
生命科学系学会合同年次大会(第40回日本分子生物学会年会)
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