2017 Fiscal Year Research-status Report
Supression of stress-induced senescene in kidney by transplantation of mesenchymal stem cells
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17K09699
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
正木 崇生 広島大学, 病院(医), 教授 (30397913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 歩 広島大学, 医歯薬保健学研究科(医), 共同研究講座教授 (40448262)
土井 盛博 広島大学, 病院(医), 助教 (80626127)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 再生医療 / 抗炎症作用 / 線維化 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
間葉系幹細胞:Mesenchymal Stem Cells (MSC) の投与は炎症細胞の浸潤を減少させることによって線維化を抑制することを、申請者らも明らかにしているように、MSCは強い抗炎症作用を有している。さらに、MSCはTNF-α stimulated gene 6 (TSG-6) が高発現しており、TSG-6はストレス誘導性細胞老化の原因となるTNFαによるNF-κBのリン酸化を抑制することから、腎虚血再灌流障害によるストレス誘導性細胞老化および線維化を、MSCの投与によって抑制できること、さらに、その機序について明らかにする。 腎虚血再灌流障害後に増加するCD68陽性マクロファージ数は、MSCの投与によって減少し、CD163陽性M2マクロファージ数はMSCの投与によって増加することを明らかにしたが、非腎虚血再灌流障害(コントロール)の腎臓と比較して、腎虚血再灌流障害後の腎臓において、NF-κB の発現およびp16INK4A陽性細胞数は同等であり、ラット腎虚血再灌流障害モデルではストレス誘導性細胞老化を判定することは困難であった。 そこで、ストレス誘導性細胞老化の原因となるTNF-αで誘導されるNF-κBのリン酸化を抑制するTSG-6について検討し、TSG-6の発現を増強する方法および腎障害の進展抑制を増強できるMSCの培養法について明らかにする。さらに、ラット腎虚血再灌流障害モデルによって生じる腎線維化を、それぞれの培養法で培養したMSCの投与によって抑制する効果に相違があるかを検討することとした。MSCはTSG-6の発現がHK-2細胞よりも高発現しており、MSCを無血清培地で培養するとTSG-6の発現が著明に増強することを確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コントロールの腎臓と比較して、腎虚血再灌流障害7日後、10日後の腎臓において、NF-κB およびp16INK4A陽性細胞数は同等であり、ラット腎虚血再灌流障害モデルではストレス誘導性細胞老化を判定することは困難であった。そこで、ストレス誘導性細胞老化の原因となるTNFαで誘導されるNF-κBのリン酸化を抑制するTSG-6について検討を行った。TSG-6は、TNF-αで誘導されるNF-κBのリン酸化を抑制するとともに、炎症細胞浸潤を早期に抑制する作用を有することが示されている。MSCはTSG-6の発現がHK-2細胞よりも高発現していることを確認した。さらに、MSCの培養液を無血清培地: STK培地(DSファーマ)に変更するとTSG-6の発現が著明に増強することを明らかにした。 また、Phorbol myristate acetate (PMA) の添加によってTHP-1 monocyteをPro-inflammatory phenotype (M1) マクロファージに誘導した後、MSCとの共培養を行い、CD163陽性・CD206陽性のImmune-regulatory phenotype (M2) マクロファージへの変化率をFACS解析で検討し、MSCとの共培養によってマクロファージのphenotypeをM1からM2に誘導することを明らかにした。また、この系にsiRNAを用いてTSG-6をノックダウンしたMSCの影響を検討したが、TSG-6 siRNAによるマクロファージのM2誘導に関しては影響を与えなかった。 次に、腎虚血再灌流障害後に増加するCD68陽性マクロファージ数は、MSCの投与によって減少し、CD163陽性M2マクロファージ数はMSCの投与によって増加することを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
・MSCの各種培養法による腎線維化抑制効果の検討 ラット腎虚血再灌流障害モデルにおいて、MSCを投与した際の線維化抑制効果を、培養法を変更させたMSCを用いて検討する。
・MSCが分泌する液性因子によるヒストンH3の修飾候補の網羅的検索 ヒストンH3ペプチドアレイ (Pre-sure Histone H3Peptide Array Elisa kit) を用いてMSCの培養液 (conditioned medium) のヒストンH3の修飾候補を網羅的に選定する。HK-2 cellsに選定したヒストンH3の修飾候補のsiRNAを行い、選定されたヒストンH3の修飾候補が、腎線維化の進展に関与するかを明らかにする。
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Causes of Carryover |
購入した物品において、予定価格よりも実際に購入した価格が低かったため、5021円の次年度使用額が生じた。次年度のラット腎線維化モデルにおける実験に使用させていただきたいと存じます。
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