2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K09712
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
木原 正夫 順天堂大学, 医学部, 助教 (50512604)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 仁 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10468572)
鈴木 祐介 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70372935)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 腸管粘膜応答異常 / IgA腎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
IgA腎症は原発性糸球体腎炎のなかで最も頻度が高いが、有効な治療法が確立されておらず予後不良である。IgA腎症の病態には糖鎖異常IgA1 と糖鎖異常IgA1 免疫複合体が深く関与しており、その産生にはToll like receptor(TLR)などのPattern recognition receptors(PRRs)を起点とした粘膜免疫応答異常が考えられる。本邦においては扁摘パルス療法が一定の効果を示している一方で、北欧においては腸管選択的ステロイド薬の効果が示されており、その議論が分かれている。本研究では、腸管におけるPRRsを介した糖鎖異常IgA1 免疫複合体形成機序を検証することを目標としている。 ヒトIgA腎症の自然発症モデルであるddYマウスを用いて、血中・消化管関連リンパ組織におけるIgA、糖鎖異常IgA、IgG-IgA免疫複合体を測定したところ、IgA腎症発症マウスの方が未発症マウスに比較して、血中・脾臓の細胞培養液中のGd-IgA, IgG-IgA免疫複合体が有意に高かったが、腸間膜リンパ節においては両者に有意差はなかった。 今後は、腸管におけるPRRsがIgA腎症発症・増悪に寄与しているか調べるため、IgA腎症発症/非発症ddYマウスを用いて、TLR4/9やその下流のサイトカインの発現を検証し、さらにはTLR4/9のリガンドを投与することで、IgA腎症を惹起できるか検証する。また、グルテンフリー食、腸管選択性ステロイド薬、中和抗体・siRNA を用いて、Gd-IgAおよびIgG-IgA免疫複合体産生の抑制効果を検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
消化管関連リンパ組織におけるIgAの解析等については、順調に進んでいるが、腸管選択性ステロイド薬、中和抗体・siRNAなどの抑制薬の開発についてやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
特に欧米においてグルテンに対する不耐性により腸炎を発症する自己免疫疾患であるセリアック病とIgA腎症との合併症例が多く報告されており、グルテンフリー食によりgliadinに対する特異的IgAやIgA免疫複合体の低下を認めたという報告や、ヒトIgA1-CD89表現型IgA腎症モデルマウスにおいて、グルテンフリー食により糸球体IgA沈着が抑制されたという報告がある。また、牛ガンマグロブリンを用い、マウスにおいてIgA腎症を誘導できたという報告もある。 腸間膜リンパ節を使用した解析では、腎炎発症マウスにおいて申請者らが近年樹立したIgA腎症自然発症モデルであるddYマウスを用いて、グルテンフリー食、あるいは牛ガンマグロブリンを負荷することで腸管粘膜応答異常とIgA腎症発症のメカニズムを検討する。また、IgA腎症発症/非発症ddYマウスを用いて、腸管におけるToll like receporsとその下流にあるBAFF、APRILやIL-6,10,18の発現をReal Time PCRで比較検証する。さらには、TLR4/9を刺激することでBAFF、APRILを誘導した後、便中・血中・消化管関連リンパ組織のIgA、Gd-IgA、IgG-IgA免疫複合体を測定し、腸管・腎組織を解析することで、腸管における免疫応答異常とIgA腎症との関連を検証する。
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Causes of Carryover |
今年度と来年度を合算させて、物品購入分があるため。
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Research Products
(2 results)