2018 Fiscal Year Research-status Report
Zeroing in on membrane trafficking: its implication for molecular pathogenesis and curative therapy of Parkinson's disease
Project/Area Number |
17K09744
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長谷川 隆文 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (70361079)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / アルファシヌクレイン / プリオン様伝播 / ドパミントランスポーター / フロチリン-1 / エンドソーム / エンドサイトーシス / 網羅的解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はパーキンソン病(PD)におけるαシヌクレイン(αS)プリオン様伝播現象に関連して、αSの細胞内への取り込み現象の解明に重点をおき研究を進めてきた。まず、哺乳動物の脳幹カテコラミン神経細胞に高発現し、PD患者脳で発現が亢進しているラフト関連分子フロチリン-1に着目し細胞生物学的な解析を進めた。その結果、細胞外モノマー・線維化αSが、ドパミン神経細胞表面に発現するドパミントランスポータ-(DAT)とフロチリン-1の会合を強化し、細胞表層でのDATのpre-endocytic clustering・endocytic uptakeをを誘導することで、DATトランスポーター活性を低下させることを発見した。さらに、DATのエンドサイトーシスに便乗して細胞外αSが細胞内へ侵入し、Rab7陽性の後期エンドソームに蓄積すること、さらに、実際にPD患者脳内のレビー小体にDAT、フロチリン-1、Rab7が局在することを確認した(論文投稿中)。 上記課題と併行して、神経・グリア細胞表面に発現するαS受容体の網羅的探索にも着手した。まずマウス全脳を出発材料として、由来の膜蛋白質ライブラリー(membrane Protein Library, MPL)を作製し、高速ペプチドーム解析法であるBLOTCHIP-質量分析法(Protosera, Inc)を用いたハイスループット網羅的解析を実施した。その結果、一次スクリーニングでヒットした106分子から、細胞表層に発現する線維化αS受容体候補分子5つを同定した(学内発明委員会に申請済み、特許出願準備中)。これらは過去にαS受容体として報告された分子(LAG-3、TLR2/4、Na+/K+-ATPase)とは異なる新規の分子であった。現在、培養細胞系を用い線維化αSと受容体分子の特異的結合ならびにαS細胞内取り込みへの影響を確認中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題で予定していた2つの課題、即ち、(i) PARK21家族性PD原因遺伝子として最近同定されたエンドソーム関連分子DNAJC13/RME-8と神経変性の関連、 および(ii)異常タンパク伝播阻止に立脚したPD進行抑制治療法開発のうち、前者については昨年度までに研究を進展させ、以下の事実を明らかにした:(1)N855S変異型DNAJC13発現COS7細胞では初期エンドソーム内にaSの異常蓄積を認め、(2)初期エンドソームから後期エンドソーム・リサイクルエンドソームへの積荷輸送が障害されていた。(3)変異型DNAJC13陽性エンドソーム上において、エンドソームのtubulationに重要なアクチンフィラメント形成が顕著に阻害され、初期→後期エンドソームの成熟障害が観察された。さらに、(4)ヒトN855S変異型DNAJC13 TgハエにヒトaSを過剰発現させると、複眼変性および運動機能が著明に悪化すると共に、ハエ脳内にProteinase K耐性aS蓄積が惹起されることを発見した。以上の結果については既に関連国際誌2つに論文発表済みである(Yoshida S, Hasegawa T, et al., Hum Mol Genet 2018、Hasegawa T, Yoshida S, et al., Front neurosci 2018)。後者の課題である異常タンパク伝播阻止に立脚したPD進行抑制治療法開発に関しても、前述の研究実績の概要に述べた通り、αSの細胞内への取り込み現象におけるDAT、フロチリン-1に関する新知見を論文投稿するとともに、線維化αS受容体候補分子の同定に成功するなど、当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要および現在までの進捗状況で記載したとおり、既にマウス全脳を出発材料として、高速ペプチドーム解析法であるBLOTCHIP-質量分析法を用い、神経・グリア細胞表面に発現する線維化αS受容体候補分子5つを同定することに成功している。これらは過去に線維化αS受容体として報告された分子(LAG-3、TLR2/4、Na+/K+-ATPase)とは異なる新規のものであり、より確実性の高い受容体候補として期待がもたれる。H31年/R1年度は、ヒトiPS細胞由来ドパミン神経細胞を含めた培養細胞系を用い、線維化αSと受容体分子の特異的結合ならびにαS細胞内取り込みへの影響について、検証を進める予定である。また、我々が先行研究で同定したSSRIなどのαS取り込み抑制薬を含め、αS脳内接種マウスを用いた伝播抑制効果を確認し、候補薬剤の絞り込みを行うと共に、治療有効濃度の推定を行う予定である。これらの取り組みを通じて、最終的にPDを含めたレビー小体病/シヌクレイノパチーの新たな疾患修飾療法を提案したいと考えている。
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Causes of Carryover |
培養細胞関係実験に要する消耗品費が当初の予定より少額で済んだため。 残額は次年度培養細胞を用いた実験に係わる消耗品費に充てる予定である。
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[Journal Article] Brain tyrosinase overexpression implicates age-dependent neuromelanin production in Parkinson’s disease pathogenesis.2019
Author(s)
Carballo-Carbajal I, Laguna A, Romero-Gimenez J, Cuadros T, Bove J, Martinez-Vicente M, Parent A, Gonzalez-Sepulveda M, Penuelas N, Torra A, Rodriguez-Galvan B, Ballabio A, Hasegawa T, Bortolozzi A, Gelpi E and Vila M.
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Journal Title
Nat Commun
Volume: 10
Pages: 973
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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