2017 Fiscal Year Research-status Report
壊死性ミオパチーに関連する自己抗体の病態機序の解明と臨床応用に向けて
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17K09784
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鈴木 重明 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (50276242)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 筋炎 / 免疫介在性壊死性ミオパチー / 抗SRP抗体 / 抗HMGCR抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症性筋疾患は多発筋炎,皮膚筋炎,封入体筋炎,IMNMに大別されるが,いずれの病型にも該当しない症例も存在し,極めて不均一な疾患である.炎症性筋疾患の診療に神経内科だけでなく膠原病内科,皮膚科,呼吸器内科,小児科も関与し,それぞれの科で独自の疾患概念が存在している.したがって診療科を超えた一定のコンセンサスがない状態で,炎症性筋疾患の臨床が行われているのが現状である.研究代表者はこれまでRNA免疫沈降法やenzyme-linked immunosorbent assay (ELISA)を用いて,多くの自己抗体の測定系を樹立,維持してきた.その成果は論文成果だけでなく,全国の主治医の測定依頼を受け,実地医療へも貢献している.近年,あらたな自己抗体の登場や疾患概念の変遷から,自己抗体の意義についても再検討すべき時期にきている.本研究課題は炎症性筋疾患(筋炎)の1つである免疫介在性壊死性ミオパチー (immune-mediated necrotizing myopathy, IMNM) の患者検体(血清,genomic DNA,生検筋)を用いた臨床研究である.臨床像,human leukocyte antigen (HLA),自己抗体,筋病理,病態機序解明など多面的な検討を行い,自己抗体の意義につき多面的に解析を行う.最終的には自己抗体測定を実地医療で行うための保険収載を目標として測定キットの開発を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
炎症性筋疾患の患者血清中には自己の細胞核や細胞質,細胞膜蛋白と反応する多種類の自己抗体が検出される.標的となる抗原は遺伝子の複製,転写,RNAのプロセッシング,蛋白への翻訳など細胞の重要な生命現象に関与する酵素あるいは調節因子である.IMNMに関連する代表的な自己抗体はシグナル認識粒子 (signal recognition particle, SRP) に対する自己抗体と3-hydroxy-3-methylglutary-coenzyme A reductase (HMGCR)に対する自己抗体である.本研究の対象となるIMNM患者が登録された統合的診断研究データベースである.2010年から2016年までの期間に登録された症例は800例を超えており,自己抗体はRNA免疫沈降法とELISAにより測定した.筋病理については国立精神神経医療センターで各種染色や疫染色から筋病理診断を行った.遺伝子診断や特殊な生化学検査を追加することで,炎症性筋疾患以外の筋疾患を完全に除外できるのが最大の利点である.統合的診断研究データベースの臨床・病理・自己抗体に関するデータベースの完成を終えることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
IMNMは自己抗体が病態に深く関与している可能性を考え,免疫遺伝学的背景との関連に注目した.すでにHLA-DRB1遺伝子のDNAタイピングをPCR-SSOP法により行い,DRB1*08:03 (odds比2.3, p=0.000021) とDRB1*11:01 (odds比2.0, p=0.04)が日本人健常者群に比しIMNM患者群で有意に多いことが明らかにした.さらに次世代シークエンサーを用いて,多型性に富むHLA遺伝子6座位 (HLA-A, HLA-B, HLA-C, HLA-DR, HLA-DQ, HLA-DP)を中心に大規模な多型解析を計画している.HLA遺伝子の意義は現在のところ特定の病型との関連にとどまっている.今後,病態機序の解明だけでなく HLAの結果を基にした最適な免疫療法の選択が行われる可能性が期待できる.
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Causes of Carryover |
本年度に研究用試薬などのコストが大幅に増加する見込みがあるため
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