2017 Fiscal Year Research-status Report
神経および単球特異的GLP-1受容体欠損マウスを用いた臓器保護効果機序の検討
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17K09833
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
園田 紀之 九州大学, 大学病院, 講師 (30583182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 泰孝 九州大学, 大学病院, 助教 (00621377) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | GLP-1(グルカゴン様ペプチド1) / GLP-1受容体 / 神経ペプチド / 炎症制御因子 / 臓器保護効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、申請者らはGLP-1受容体(以下、GLP-1R;glp1r)遺伝子をCre発現トランスジェニックマウスとの交配にて組織特異的に欠損可能な遺伝子改変マウスの開発をすすめた。loxP配列でglp1r遺伝子のエクソン4、5を欠失可能な、floxマウスの作成を行った。これにより理論的には全ての臓器における組織特異的GLP-1受容体を介する生理作用と病的状態における作用メカニズムの解析が可能となった。その後、本研究の目的である、神経修飾ペプチドとしてのGLP-1の機能を解析するため、神経特組織特異的に発現するNestin-Creマウスとの交配によって神経系特異的GLP-1受容体欠損マウスの作成を行った。また炎症制御におけるGLP-1の役割を検証するため、LysM(lysozyme M)-Creマウスとの交配によって単球特異的GLP-1受容体欠損マウスの作成を行った。現在、遺伝子改変マウスの繁殖とともに、パイロット研究として本遺伝子改変動物の生理的条件、病的ストレス負荷条件において、GLP-1シグナルの神経や免疫細胞を介する作用を中心に解析を行っており、新知見を得ている。さらに、他の組織特異的GLP-1R欠損マウスの作成も開始しており、これらの遺伝子改変動物間での差異を明らかにすることで、新たな病態や疾患に対する臨床応用への足掛かりとなる成果の取得を目指す。昨年度はモデル動物の作成と実験系の確立を優先し、学会および論文等で公表したものはないが、現在解析中の結果を今年度以降、発表の予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画どおり、昨年度は神経組織特異的GLP-1受容体欠損マウスおよび単球特異的GLP-1受容体欠損マウスの作成を完了している。これまでに組織特異的発現Creマウスとの交配が必要であり、十分な遺伝子改変動物の数が得られていないが、現在、解析可能なマウスとコントロール群とを用いて、パイロット研究として心腎肝臓の末梢主要臓器の基本的な生理機能と糖尿病誘導ならびに肥満誘導における表現型の変化の観察を開始しており、研究は順調に進んでいると考えている。今後は遺伝子改変動物の繁殖の継続とともに、パイロット研究で得られた知見を基に十分な数の動物を用いての解析を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度は本実験を遂行するだけの十分な数の遺伝子改変マウスが得られていなかったことが、問題であったが、今年度に入り、繁殖状況は順調である。糖尿病患者を対象とした複数の大規模臨床研究でGLP-1の心血管疾患抑制作用が報告されたが、そのメカニズムは明らかではなく、神経や炎症制御を介した機序の解明に最も注力を注ぎたいと考えている。また、遺伝子改変マウスと対照群を比較する、マイクロアレイ、プロテオソーム、メタボローム等の網羅的解析の準備を開始しており、これらの結果から、GLP-1シグナルを介した臓器ネットワークの新たな側面を見出し、探索的研究にも着手したいと考えている。
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Causes of Carryover |
今年度は機材購入やデータ入力が施行できなかったことで、物品費などが繰越となった。 来年度では、必要機材やソフトウェアの購入を予定している。
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