2017 Fiscal Year Research-status Report
Induction of the responsible antigen-specific regulatory T cells in type 1 diabetes
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17K09854
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
中條 大輔 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 医長 (30640528)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 1型糖尿病 / 自己免疫 / T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
1型糖尿病は膵島特異的T細胞による膵β細胞の破壊を主因とする自己免疫疾患とされているが、ヒトにおいて責任抗原や誘発される細胞性免疫反応については未解明な点が多く、本研究では、日本人1型糖尿病の3病型(急性発症・劇症・緩徐進行性)における膵島抗原特異的T細胞を網羅的に解析することで各病型における膵島抗原特異的細胞性免疫の関与を明らかにし、その反応を制御するテーラーメイド制御性T細胞誘導法を探索することを目的とする。 現時点で、急性発症1型糖尿病(AT1D):20例、緩徐進行1型糖尿病(SP1D):17例、劇症1型糖尿病(FT1D):18例、健常コントロール(ND):17例よりPBMCを単離し凍結保存した。各症例のPBMCを、CD4陽性T細胞を標的としたGAD65、PPI、IGRP、ZnT8の各膵島抗原ペプチドで刺激し、48時間培養した。培養上清中のサイトカイン/ケモカインを測定したところ、ND群に比べてAT1D群やFT1D群ではユニークなサイトカイン/ケモカイン分泌パターンを認めていた。抗原特異的T細胞を同定する目的で、細胞をIL-2存在下にさらに5日間培養し、細胞内サイトカイン染色を行った上で、フローサイトメトリーにて解析を行った。すると、AT1D群における抗原特異的Th1発現やFT1D群におけるTr1反応の欠落などの知見が得られ、SP1D群ではTh2の発現亢進を誘導する膵島抗原も同定された。これらの病型別の細胞性免疫反応の差異を示した既報はなく、今後、1型糖尿病の主因である自己免疫を制御する方法を検討するにあったては非常に重要なデータである。 今後はCD8陽性T細胞についても解析を継続し、データの集約を経て、免疫制御法の開発を試みる予定である
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、平成29年度~30年度にかけて、検体の収集と膵島抗原特異的T細胞の解析を実施する予定であったが、現在ほぼ目標症例数の対象者を登録しており、検体収集もほぼ終えている。T細胞の解析も予定の2年間で予定している分の50%以上は進行しているため、ほぼ順調に進展していると判断した。 今後は、ロードマップに従い、T細胞解析の継続を行い、平成30年度内に免疫制御法の開発に取り掛かれることを目標としていく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、収集したPBMCを用いて、(1)1型糖尿病の各病型(急性発症・緩徐進行・劇症)および健常人における、膵島抗原特異的CD8陽性T細胞反応の解析、(2)各患者の責任抗原で教育した自家樹状細胞を用いてその反応を制御するテーラーメイド制御性T細胞誘導法の試み、の順で研究を推進していく。 (1)については、既報から推測すると、平成29年度に実施したCD4陽性T細胞反応の解析結果よりも、各病型および健常人の間でユニークな差異が同定できるのではと期待している。また、劇症1型糖尿病における抗原特異的CD8陽性T細胞の関与については既報がなく、同病型における細胞性自己免疫の関与を検討する上では、非常に重要な検討となる。(2)に関しては、患者由来のCD14陽性単球からIL-4やG-CSFなどを用いて樹状細胞を作成する培養系、樹状細胞を各1型糖尿病症患者で同定された責任膵島抗原で教育し、制御性サイトカイン等を用いて制御性樹状細胞を作成する培養系、制御性樹状細胞で同一患者のCD4陽性T細胞を刺激する培養系の確立を行い、各患者別のテイラーメイド免疫制御法(制御性T細胞の誘導)の開発を進めていく。 1型糖尿病の3病型において本解析を行うことで、各病型における自己免疫の活動性を明らかにすることができると期待する。1型糖尿病は病期が進むにつれ膵島が消失し、重度の高・低血糖を来すようになる。膵・膵島移植後の自己免疫再発も克服すべき重要課題である。本研究が膵島の破壊を食い止められるような免疫細胞療法の開発に繋がれば、発症時や膵島移植後の患者QOLを劇的に改善するばかりか、根治への第一歩ともなり得る。
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[Presentation] Distinct Phenotypes of Islet Antigen-Specific CD4+ T Cells among the Three Subtypes of Type 1 Diabetes2018
Author(s)
Daisuke Chujo, Akitsu Kawabe, Nobuyuki Takahashi, Maya Matsushita, Chiharu Tsutsumi, Fumitaka Haseda, Akihisa Imagawa, Toshiaki Hanafusa, Kunimasa Yagi, Masayuki Shimoda, Kohjiro Ueki, Hiroshi Kajio
Organizer
The 78th American Diabetes Association Scientific Sessions
Int'l Joint Research