2017 Fiscal Year Research-status Report
鉄芽球性貧血モデル細胞を用いたミトコンドリア鉄蓄積機構の解明
Project/Area Number |
17K09910
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
金子 桐子 岩手医科大学, 医学部, 講師 (10545784)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古山 和道 岩手医科大学, 医学部, 教授 (80280874)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 鉄代謝 / ヘム合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
29年度は、1. 先行研究にて作製した赤芽球系培養細胞であるHudep2細胞の赤血球型アミノレブリン酸合成酵素(ALAS2)のエンハンサー領域に変異を導入した細胞(以下、HAlow1細胞)を用いた鉄蓄積機構の解析、2. ALAS2以外の遺伝子変異を持つ鉄芽球性貧血モデル細胞作製 を行った。 1. ミトコンドリアにおける鉄蓄積機構に関与する因子の同定を目的にDNAアレイ解析による網羅的解析を行う予定であったが、まず鉄の蓄積機構の解析を優先して行った。ミトコンドリアへの鉄移入機能を持つマイトフェリン1(MFRN1)、ミトコンドリアの余剰鉄の蓄積先と考えられているミトコンドリアフェリチン(FTMT)の発現をそれぞれ野生型とHAlow1細胞で検討を行ったところ、いずれも分化誘導に伴って増加したが、野生型とHAlow1細胞との間での発現に差異は認められなかった。このことから、少なくとも今回の検討条件ではMFRN1を介したミトコンドリアへの鉄移入能およびFTMTの蓄積能に差はないことが示唆された。このことから、ALAS2変異により低下したプロトポルフィリンIX合成量と赤芽球分化に伴って増加した鉄移入量の不均衡によりミトコンドリアに鉄が蓄積することが考えられた。 2. ALAS2以外の遺伝子変異を持つ変異鉄芽球性貧血の作製はGLRX5, SLC25A38, SF3B1の3種類を作製を行った。いずれの遺伝子もALAS2と同様の手法で変異を導入したが、ALAS2変異細胞に比較して増殖速度が緩徐であることから、29年度末現在、クローン解析の途中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
HAlow1細胞を用いた鉄蓄積機構の検討は当初の予定通りに実験が進展しているが、ALAS2以外の遺伝子変異絵を持つ鉄芽球性貧血モデル細胞の作製はALAS2変異細胞に比較して増殖速度が緩徐であるため。しかしながら、想定範囲内の進行度であり、課題の遂行には大きな問題ではない。
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Strategy for Future Research Activity |
HAlow1細胞を用いた鉄の蓄積機構解析では鉄の蓄積先がFTMTであることの確認をするため、FTMTのノックダウンによる細胞の表現系や発現系を検討する。さらに、鉄蓄積を抑制する方法の検討も併せ、引き続き詳細の解明を行う予定である。 鉄芽球性貧血モデル細胞については、作製は予定通り引き続き行い、表現系の検討および鉄蓄積機構解析を行う予定である。昨年度と同じ手法での作製が困難な場合を考慮し、変異導入方法の変更や条件付きノックダウンを行う等の代替方法についても並行して準備を進める方策である。
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Causes of Carryover |
調達方法の工夫により、当初計画より経費の使用が節約できたことにより生じた未使用額である。 次年度は物品費として消耗品の購入に充てる計画である。
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